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ボリンジャーバンドって何ですか?

Band
(写真=PIXTA)

「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」――。投資に興味のある方は見聞きしたことがあると思います。簡単にいえば、ファンダメンタルズ分析は財務諸表などから投資先の良し悪しを判断して、現在の価格水準が割高か割安かを見極める分析方法です。一方、テクニカル分析は、市場の動きはすべての材料を織り込むという前提のもと過去の市場の動きを分析することで将来の市場の動き(買われ過ぎや売られ過ぎの水準)を予測する手法です。具体的には、ローソク足や移動平均線、MACD(移動平均線収束発散法)、ボリンジャーバンドなどのテクニカル指標があります。
株価を分析する際には、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を併用することが、より良い投資への第一歩といわれています。今回はテクニカル分析の中でも比較的わかりやすい「ボリンジャーバンド」について解説します。

ボリンジャーバンドとは

1980年代に同指標は米国のジョン・ボリンジャー氏によって考案されました。同氏は親日家でもあり、何度も日本でセミナー等を開催しています。

バンドとは「帯域」のことです。株価がおおよそこのバンドの中で推移していくことを前提としています。 ボリンジャーバンドは、移動平均線に統計学の標準偏差を加えた考え方に基づいています。

標準偏差とは、入試の難易度等でよく使われる偏差値のようなものです。データがどれくらいバラついているかを示しています。このバラつきが集まる確率を「σ(シグマ)」で表します。ボリンジャーバンドの中央に移動平均線があり、その上方に「+1σ」「+2σ」「+3σ」という伴線があり、その下方に「-1σ」「-2σ」「-3σ」という伴線があります。

移動平均線とは、ある一定期間における株価(終値)の平均を連続した線です。言い換えれば、当該期間における損益分岐点のようなものです。その移動平均線に対して一定期間の標準偏差を加減しているボリンジャーバンドの上方(+1σ~+3σ)を買われ過ぎ、下方(−1σ~−3σ)を売られ過ぎとみなします。

ちなみに株価が「±1σ」の間に収まる確率は約68.3%とされます。もう少し広げて「±2σ」まで考えると、この間で株価が推移する可能性は約95.5%です。「±3σ」にすると約99.7%まで高まります。

ボリンジャーバンドの使い方

ボリンジャーバンドの使い方は、順張りと逆張りの2つに分けられます。

株価は高い確率でボリンジャーバンドの帯域(バンド)内で推移していくということが原則です。つまりバンド外に出た株価を異常値としてとらえます。そのため、①トレンドが明らかに発生している場合は、狭いバンドが拡大して±2σをブレイクしたときに(または近づいたとき)その方向に沿ったポジションをとる(順張り)、②レンジ相場の場合は、+2σを上抜いたら戻り売り、-2σを割り込んだら押し目買い(逆張り)、というように売買判断に利用します。

ただ、投資の世界に絶対はないといわれるようにボリンジャーバンドも常に有効というものではありません。リーマンショックのように未曾有のイベントがあった際など、テクニカル指標が有用ではないケースもあるので注意が必要です。特に、ボリンジャーバンドの使用においては、逆張り・順張りのどちらを選択するかを判断するうえでもトレンドの有無がポイントとなります。他のテクニカル指標を併用しつつ、複合的なアプローチが重要といえます。

「習うより、慣れろ」、「急がばまわれ」

投資の初心者は、まずテクニカル指標に慣れることでしょう。グラフや数字に慣れつつ、ゆっくり理解していくことが大切です。さまざまな売買手法があることを知れば、大きな失敗も回避しやすくなります。長く投資を続けるうえで重要ではないでしょうか。

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