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「仮想通貨」に消費税がかからなくなる? 政府が方針検討か

bitcoin
(写真=PIXTA)

近年ニュースなどで目にする機会が増えた「仮想通貨」。お金の流れの仕組みを変える可能性がある存在として注目を集めています。

仮想通貨について、その購入時にかかる8%の消費税が非課税となる可能性が出てきました。この方向で進めば、日本での仮想通貨の利用がさらに拡がる可能性があります。

「仮想通貨」「暗号通貨」とは何か

仮想通貨は、円やドルなどと同様に決済や取引に使えますが、実際に硬貨や紙幣があるわけではなく、姿形は存在しません。英語では「Cryptocurrency(crypto=暗号、currency=通貨)」と言い、それにちなんで日本では「暗号通貨」とも呼ばれます。

よく知られる仮想通貨に、ビットコインがあります。ビットコインは、発行・管理を行う組織がなく、発行(「採掘」や「マイニング」などと言われています。)や取引は、P2Pネットワークを介してのやりとりとなっており、偽造や二重払いなどを防ぎ、透明性を担保しつつ安価に通貨を流通する仕組みが作られています。

海外送金手数料が安価(日本なら一律数円)ででき、世界中の取扱店舗で使えることなどから、ビットコインの利用者は増え続けています。2016年3月末時点で、世界で1,300万人以上、日本でも数十万人とも推定されています。ビットコイン以外にも「イーサリアム」、「リップル」など、世界で700種類以上の仮想通貨が流通していると言われます。

現在購入時に消費税がかかる仮想通貨 

現在日本では、仮想通貨についてはその購入時に8%の消費税がかかり、さらにその仮想通貨を使っての物品購入時にも消費税がかかっており、二重に消費税がかけられていることになります。世界の主要7か国(G7)で、ビットコインの取引に消費税がかかるのは日本のみです。

例えば、現金と同様に使えるプリぺイドカードや、支払い手段である銀行券、小切手などについては、課税の対象となる取引ではないことが消費税法上に定められていますが、これまで仮想通貨はその存在に対する法律がなく、課税の対象とされてきたのです。

2014年6月に公表された自民党の「ビットコインをはじめとする『価値記録』への対応に関する【中間報告】」では、ビットコインなどの仮想通貨を「価値記録」として、通貨でも物でもない、新たな分類に属するものとして定義しました。

同報告では通貨と「価値記録」の交換、「価値記録」と物・サービスの交換、「価値記録」同士の交換に対しては消費税を課税する方針が示されていました。

このように、従来仮想通貨による取引に対しては、消費税による課税がベースとして捉えられていました。

期待できる? 仮想通貨購入時の非課税化

仮想通貨に消費税が課税されているがために、その事務作業に手間がかかることや、購入時に消費税分が上乗せされることで価格も上がるなど、仮想通貨関係者からは日本の国際競争力にとってマイナスとなるのではないかとの声が挙がっていました。

こうしたなかで2016年5月に改正された資金決済法において、仮想通貨が決済手段のひとつとして認められたことにより非課税となる道筋が見えてきました。

さらに金融庁は「平成29年度税制改正」において、仮想通貨に係る消費税の取り扱いの整理・明確化を要望事項としてあげています。

一部では、2017年春にでも財務省と金融庁が仮想通貨を非課税とする方向で調整に入ったと報道されていますが、もしもこの通り課税しない方向で進んでいくならば、仮想通貨の更なる利用拡大が期待できるでしょう。

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