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フィンテックの米国上場企業にはどんなところがあるのか

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(写真=PIXTA)

ペイパル:オンライン決済のパイオニア

 1989年に設立されたペイパルは、2016年現在、世界203ヵ国で1億 7,900万人のユーザーに利用されているオンライン決済のパイオニア的存在に成長しました。

 欧米では一般的に利用されているオンライン決済手段で、個人、法人向けの送金サービスから、クレジットカード、加盟店向け決済ソリューションまで、幅広い商品を提供しています。

スクエア:創業者はツイッターのジャック・ドーシー氏

 スクエア(Square)は、「複雑な決済プロセスを簡潔化する」というコンセプトのもと、2009年に設立されました。創業したのはTwitterの創業者であるジャック・ドーシー氏です。

 スマートフォンなどのモバイル端末に接続可能な小型リーダー、請求ツール、デジタルレシートなど、加盟店が事業を拡大するうえで必要なPOS(販売時点情報管理)システムのほか、クラウド会計ソフトやビジネス融資サービスも提供しています。顧客情報のデータ暗号化や不正検出アルゴリズムを採用することで、高いセキュリティーを実現させているのも特徴です。

アップル:当初苦戦したApple Payも加盟店増加中

 アップルは2014年にNFC(近距離無線通信)を利用した決済機能を搭載したiPhone 6で「Apple Pay」サービスを開始しました。

 非接触決済と複数のクレジットカードをまとめて登録できるウォレット機能で利便性を高め、iPhoneのタッチIDによる指紋認証で安全性を確保しています。Apple Watchや iPhone SEにも対応しているほか、iPadなどNFCを搭載していないデバイスでもオンライン決済が可能です。

 出だしは苦戦の色が見られたものの、徐々に加盟店も増加。現在までに米国、カナダ、オーストラリア、英国、香港、シンガポール、スペインへの進出を果たしています。

アルファベット:フィンテックベンチャーへの投資にも熱心

 アルファベット(Alphabet)は2015年にグーグルが大規模な組織改革を実施した際、グーグルを含む複数の子会社を統制するために設立された持ち株会社です。グーグルは、2011年に発表したP2P決済アプリ「Google Wallet」に続き、2015年9月にはAndroid端末対応のモバイル決済サービス「Android Pay」を始めています。

 Apple Pay同様、クレジット会社と提携し、POSリーダーに携帯をかざすだけの非接触決済で話題を呼び、サービス開始時には70万件を上回る加盟店が参加しました。同社はベンチャー事業Google Venturesを通して多数のスタートアップ企業(新しく設立された企業)を支援するなど、着実にフィンテック部門を拡大中です。

ビザ:ワンタッチ決済システム「Visa Check Out」を開始

 ビザ(Visa)は、設立58年の歴史を誇る世界中で最も利用されているクレジットカードの国際ブランドで、2015年の総購入取引件数のうち約56%を占めています(シェア1位)。

 フィンテックを盛り上げるスタートアップとも積極的に提携関係を結び、最新のテクノロジーを活用する一方で、既存サービスの強化にも力を入れています。2014年にサービスを開始したワンタッチ決済システム「Visa Check Out」に、2015年はスワイプ操作などの新機能を追加。現在はスポンサーを務めるブラジルリオ五輪の開催に向け、ウェアラブル端末や非接触決済の普及に努めています。

マスターカード:アジアのフィンテックスタートアップとも連携

 同じくクレジットカードの国際ブランド、マスターカード(MasterCard)の設立は1966年。総購入取引件数はビザに次ぐ第2位で、26%を占めています。

 2013年にモバイルウォレット「MasterPass」を発表。2016年3月には、顔および指紋認識技術によるオンライン決済サービスのテストを、米国とカナダで開始しています。

 近年はシンガポールやイスラエルなどのアジアのフィンテック分野にも進出し、スタートアップを含む世界中のさまざまな企業の発想と技術を取り入れ、オンライン決済分野に力を入れています。

ユーロネット・ワールドワイド:ウォルマートと提携、低コスト国内送金サービス提供

 ユーロネット・ワールドワイド(Euronet Worldwide)は、1994年の設立以来、世界55ヵ国で個人、法人向けの電子決済サービス、ソリューションを提供しています。

 2014年に、子会社リア・マネー・トランスファーと米大手小売業者ウォルマートが提携し、新たな国内送金サービス「Walmart-2-Walmart」の提供を開始しました。

 2015年の取引総額は740億ドル(約7兆9,194億円)。59万9,000店の小売業加盟店、200社の金融機関が参加、多くの消費者にも利用されています。

オン・デック・キャピタル:オンライン審査は10分以内、中小事業者でも気軽に融資可

 オン・デック・キャピタルは、オンラインで中小事業者向けに融資を行う企業で、2007年に設立後わずか9年間で融資総額40億ドル(約4,277億2,000万円)、融資企業数700社以上という規模にまで成長を遂げました。

 中小事業者の成長を促進することに重点を置き、融資基準を「設立1年以上、年間売上高10万ドル(約1,069万円)以上」と低めに設定。オンラインによる審査時間も10分以内に短縮し、経営力に乏しい中小事業者でも気軽に融資を申し込める環境を整えています。

 借り入れしやすい短期小口融資(3~12ヵ月、5,000ドル〜25万ドル/約53万5,100円〜2,673万円)で、9%から(貸付期間によって異なる)という低金利も人気の秘密でしょう。

レンディング・クラブ:P2P融資企業としては初めて上場した企業

 レンディング・クラブ(LendingClub)は2006年に設立され、2014年にはP2P融資企業では初めての上場を果たしました。2016年3月末時点での融資総額は180億ドル(約1兆9,247億円)と報告されています。

 テクノロジーを駆使したデータ分析システムで借り手の返済能力を含むリスクを検証し、個人には最高4万ドル、事業主には5,000ドル〜30万ドル(約53万5,100円〜3,208万円)の融資仲介を提供しています。

 契約違反の融資が行われていた不祥事で、2016年5月にCEOが辞任するなど社内では不安定な状態が続いており、プライベート・エクイティ企業や銀行への売却交渉も米メディアに報じられています。

ここで紹介した事例に限らず、米国では企業の参入が相次いでいます。決済や融資といった分野を中心に、さまざまな企業が参加、フィンテック市場は急速に拡大しています。

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