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世界的に株価は伸び悩み、不安心理は後退

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(写真=PIXTA)

 世界的に株価は伸び悩みました。ただ、米国の経済統計に良好なものが目立つほか、原油をはじめとした商品市況が持ち直していることから、市場参加者の不安が和らいでいます。米国や世界の緩やかな経済成長と緩和的な金融環境が、市場参加者のセンチメント(市場心理)改善と株高傾向を支える構図は大きく変わっていないと考えます。

世界の株価は伸び悩み、4月は重要な月

 NYダウは2015年5月に記録した最高値(1万8298ドル88セント)に近づいたところで伸び悩んでいます。また日本とドイツの株価も4月は反落スタートとなっています。

 ただ、米国の経済統計には良好なものが目立つことや、商品市況が持ち直していること、米国の利上げが先送りされそうなことから、投資家の不安心理は和らいでいると言えます。

 欧米は4-6月期の期初を迎え、日本は4月に新年度に入りました。四半期の期初は、世界中の資金の流れのトレンドが大きく変わることがありますし、前四半期の業績発表に関心が集まることから、重要度の高い時期です。今後の注目事項は、2月中旬以降にみられたような好地合いを4月中に取り戻すことができるかどうかでしょう。

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米労働市場の改善続く 中国景気にも持ち直しの兆し 

 米国労働省が4月1日に発表した3月の非農業部門雇用者数は、前月比21.5万人増でした。これは事前の予想である同20.5万人程度の増加を上回ってはいるものの、失業率は5.0%と2月の4.9%から上昇しています。

 ただ、失業率が悪化したのは、求職者が増えたためだと言われていますし、もともと米国は転職が多いことを考えると、失業率は完全雇用(失業者がいない状態)に近いととらえられます。

 また米供給管理協会(ISM)が同日、3月の製造業景況指数を発表しました。結果は51.8で、2015年8月以降で初めて50を上回りました。同指数の50は製造業活動の拡大と縮小の境目とされています。

 加えて、同日に中国国家統計局が発表した3月の製造業購買担当者指数(PMI)も50.2となり50を上回っています。

 一方、同日に日本銀行が発表した短観では、企業の景況感が総じて悪化したことが示されています。

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市場の不安心理は大きく後退 米国の株高を支える

 米国株のVIX指数(Volatility Index)が大きく低下しています。この指数は「恐怖指数」とも呼ばれるもので、シカゴ・オプション取引所が、S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出、公表しています。数値が大きいほど、市場参加者が相場の先行きに不安を抱いていることを示すというものです。

 一方、今回のような低下基調は不安心理が弱まっていることを意味し、米国の株高を支える要因の1つとなっています。

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 過去のVIX指数を見ると、低位安定と急上昇を繰り返していることが分かります。

 VIX 指数が下がっている時は、短期売買タイプの投資家は借り入れをしてレバレッジをかけ、大きなリターンを求めようとします。その結果、リスクが大きくなってしまい、ポジションを解消する時――売ったものを買ったり、買ったものを売ったりした時――には、相場が大きく動く要因にもなってきました。

 仮に、原油価格や中国人民元が再び下落したり、英国が実施する欧州連合(EU)残留・離脱を問う国民投票で不測の事態に陥ったりしたら、楽観の行き過ぎに対する大きな揺り戻しが起こることも考えておくべきでしょう。

 また、VIX指数が急上昇したら、過度の悲観や売られ過ぎを測る「逆張り指標」と見て、その後の投資判断に役立てることもできるでしょう。

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