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世界景気を先取りして株式投資に活かす

(画像=Funtap/stock.adobe.com)

株価は景気に先行して動く傾向

「株価は景気の先行きを映す鏡」といわれることがあります。実際、過去の日本の景気動向と株価(TOPIX)の推移を比較すると、株価の高値・安値は景気の山・谷に先行する傾向があります。そのため、株式投資においては景気の今後を考えることが重要です。とはいえ、景気を予測するためには、消費や生産、設備投資、輸出入に影響をおよぼす海外経済の状況など、さまざまな要因を考慮する必要があります。

景気の動きを先取りする「景気先行指数」

そこで、注目してほしいのが「景気先行指数」です。経済指標は、景気変動に先行して動くもの、ほぼ一致して動くもの、遅れて動くものの3種類に分けることができます。このうち、先行して動く指標から算出される指数が景気先行指数であり、景気の転換点を見極めるための材料として活用されています。なお、日本の景気先行指数は内閣府が算出している指数が使われることが多く、米国景気は民間調査会社カンファレンス・ボードの指数、世界景気は経済協力開発機構(OECD)の指数が広く用いられています。

OECDとは

OECDは日米欧の先進国を中心に37ヵ国が加盟している国際機関であり、世界中の人々の経済的・社会的福祉を向上させる政策を推進することを目的とした組織です。世界最大のシンクタンクと評されることもあります。OECDは国ごとだけでなく、いくつかの国をまとめたグループでも景気先行指数を算出しています。なかでも、加盟国に非加盟6ヵ国(中国、インド、インドネシア、ロシア、南アフリカ)を加えたグループは世界経済の87%を占めており(2020年時点)、このグループの景気先行指数は世界経済の先行きを考えるうえで注目したい指標です。

OECD景気先行指数を株式投資に活かす

OECD景気先行指数は、景気に対し6ヵ月~9ヵ月先行するように設計されています。また、100が景気判断の境目であり、100超は景気拡大を、100未満は景気下降を示します。株式投資においては、100を超えているかどうかに加えて、指数が上向きなのか下向きなのかもみて、景気を4つの局面(下降、回復、加速、減速)に分類すると、売買の判断に活かしやすくなるでしょう。OECD+非加盟6ヵ国の景気先行指数は2021年2月に100.2と2年5ヵ月ぶりに100を上回り、4月時点で100.7と改善していることから、世界景気は加速局面にあるとみられます。また、過去の加速局面は平均で14ヵ月続き、日経平均株価は平均24.0%、米S&P500指数は平均18.8%上昇しました。景気動向からは、当面、世界景気と日米株が堅調に推移するものと期待されます。

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