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プロも気にする投資用語「日経平均先物」

(写真=PIXTA)

株式市場に上場されている個別企業の現物株に投資して配当や値上がり益をねらう現物取引のほかに、株価指数を対象に一定の期限であらかじめ決められた値段で取引する株価指数先物取引があります。この株価指数先物取引の代表的なものに日経平均先物があります。日経平均先物は、大阪取引所の他、海外のシンガポール証券取引所(SGX)やシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)にも上場されています。その中でも日本の株式市場がはじまる前に取引が終了する関係から注目されているのがCMEの日経平均先物の価格です。

「日経平均先物」とCME

日経平均先物は日経225先物とも呼ばれ、日経平均株価を算出する225銘柄を対象とした指数の先物取引です。日経平均株価を1,000倍した金額を最低取引単位(1枚)としています。日経平均先物の「買い」または「売り」注文を出して成立した枚数を建玉といい、買い手は買建玉、売り手は売建玉を枚数分保有していることになります。日経平均先物取引では、取引できる決められた期日までに売却したり買い戻したりして反対売買によって建玉を清算しなければなりません。この期日が来る月を限月(げんげつ)といい、株式でいえば銘柄にあたります。そして、3月、6月、9月、12月のそれぞれの限月を持つ日経平均先物が取引されています。

現物の株式投資と違うところは、買い手は注文が成立してもその金額の代金を支払うのではなく、その代わりに定められた証拠金を差し入れる必要があります。また、売り手も証拠金を差し入れます。先物の売買可能期間は限月の第2金曜日である前営業日の第2木曜日が最終取引日になります。建玉はそれまでに反対売買によって清算できますが、残った建玉は第2金曜日の日経平均採用225銘柄の寄り付きの株価から算出される特別清算指数(SQ値)によって強制的に清算されます。

買い手は建玉の清算時点で日経平均が上がっていたら、値上がり幅の1,000倍に建玉の枚数を乗じた金額の利益が得られます。売り手は日経平均が下がっていたら、値下がり幅の1,000倍に建玉の枚数を乗じた金額の利益を得ます。それぞれ日経平均が思惑と反対の方向に動いていたら、同様の額の損失が出ることになります。

日経平均先物には、ラージと呼ばれる日経平均株価を1,000倍した日経225先物のほかに、取引がしやすいように日経平均株価を100倍した日経225先物ミニの2つあります。

CMEはシカゴにある世界最大規模の先物取引所であるシカゴ・マーカンタイル取引所です。ここには世界中の主要な商品先物や金融先物が上場されており、日経平均先物もその一つです。

日経平均先物とCMEをどう使う?

日経平均先物取引では、売買代金より少ない証拠金だけで取引が行えるので、少ない金額で大きな額の取引を行うというレバレッジと呼ばれる効果があります。このため、大きなリターンが望める一方、リスクも大きいのです。

現物取引では安いときに買って高いときに売るという投資戦略で「買い」から入るだけですが、日経平均先物は「売り」から入れるという特徴があります。これを生かして、日経平均先物は複数の現物株のヘッジとしても使うことができます。

すなわち株価が値下がりしそうでも持ち株を売りたくないとき、日経平均先物を売っておけば株価が下がっても現物株の評価損を先物の評価益で相殺することができます。また、急に悪材料が出て株価が全面的に値下がりするような場合、現物株は売りが殺到し売買が成立しないことがありますが、そのような時はまず先物で売っておくという手段にも使えます。

ラージの場合は、1単位の金額が大きくなるので大口の投資家向けですが、1単位の金額がそれほど多くないミニは個人投資家も参加しやすい取引といえます。

日経平均先物は、個別株を売買する個人投資家にとっても情報源として役立ちます。日経平均先物は夜間も取引されており、翌日の相場の方向を考えるためのポイントにもなります。特にCMEの日経平均先物は日本市場が開く前まで取引が続いているので、日本市場の寄付きの価格動向を読むうえで多くの投資家が注目しています。

これは、CMEの取引の終了時間が日本の早朝にあたるため、CMEでの日経平均先物の清算値が日本の株式市場での寄付きにおける日経平均株価の水準に大きな影響を与えるためです。

「株式投資をしているけれど、なかなか相場の動きが予想できない。」という人は、まず相場観を磨くために、CMEの日経平均先物の動きを確認し、その日の日経平均株価がどうなるのかを予想してみてはいかがでしょうか。

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