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交通インフラの整備でぐっと身近になる香港―中国

(写真=Ronnie Chua/Shutterstock.com)

香港と広州を結ぶ高速鉄道が2018年夏に完成予定

香港と中国本土の広州を結ぶ新たな陸路のルート「広深港高速鉄道」(全長142キロ)の工事が2018年夏を完成予定として進められています。メディア向けに披露された車体は、シルバーを基調に白、赤、オレンジのラインがあしらわれ、走行する姿は飛龍に似ているとされています。列車は8両編成で、579席と車いす用スペースが2ヵ所、各座席の足元にはスマホなどを充電できるコンセントが設置されているほか、無料のWi-Fiが完備されています。

香港-珠海-マカオを結ぶ世界最長の海上大橋も2018年に開通予定

広深港高速鉄道の開通により、香港-広州間の鉄道での所要時間は、現在の2時間から48分へと大幅に短縮され、そのまま延伸すると北京には現行の24時間から10時間、上海へは19時間から8時間で到着する見込みです。また、香港-珠海-マカオを結ぶ世界最長の海上大橋も2018年には開通が予定されています。これによりビジネス客・旅行客の利便性向上だけでなく、交通インフラ整備にともなう珠江デルタ地域へのゲートウェイとしての香港の戦略的地位向上や同地域の経済密着化への貢献が期待されています。

香港では中国当局が域内で活動を強めることを警戒する声も

一方、香港政府が今年7月に発表した「一地両検(出入境手続きを1ヵ所で行う)」が物議を醸しています。香港政府は広深港高速鉄道の終点である香港・西九龍駅の約4分の1の面積を中国政府に賃貸し、出入境管理や税関を含む関連施設の設置を認めました。中国側の管轄区域では中国の法律が適用され、中国当局は警察権や司法権等の行使が可能となり、香港市民の間では中国当局が香港域内で活動を強めることへの警戒感が強まっています。また、中国国内で遮断されているフェイスブックやグーグルは使用できるかどうか、電車内で子どもを出産した場合に戸籍はどうなるのかなどの問題も浮上しています。

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