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20代の半数近くが金融資産ゼロ!? 「お金がふえるサイクル」はこう作る(後編)

(写真=Thinkstock/Getty Images)

毎月の生活費を節約して残ったお金を預金に回そうと思っても、なかなか残らないのが現実。
もし貯蓄が少ないなら金融資産をふやす体制を整えましょう。たとえば、将来の不安に備えるために毎月保険料を払う感覚で、毎月少額ずつなら積み立てできる気がしませんか? 若い人こそ、早めに積立投資を始めれば長い時間をかけてじっくりと資産を育てられるのです。

意外かもしれませんが、投資だって、実は少額から積み立てできます

証券会社でできる積み立てには次のようなものがあります。

・ 株式の積み立て(株式累積投資)
毎月1万円から、株式の購入ができます。どんな銘柄を積み立てにできるかは証券会社により異なります。持っている株式の持ち分に応じて配当金も受け取ることができます。

・ 投資信託の積み立て
毎月1000円から積み立てできる証券会社もあり、株式累積投資よりも少ない金額で積み立てられます。複数の株式や債券などに分散投資する投資信託は、そもそも個別の株式への投資に比べ分散によるリスク低減の効果がありますし、積み立てにすることでさらにリスクを低減できます。

投資初心者には投資信託の積み立てがおすすめ。どの投資信託を積み立てにできるかは証券会社により異なります。持っている投資信託の口数に応じて分配金も受け取ることができるものもあります。

せっかく積み立てるなら非課税口座を活用したいもの。通常、投資信託の収益(収益分配金+売却時の利益)には20.315%の税金がかかり、手取りは8割弱です。NISA(少額投資非課税口座)なら、1人につき年間で元本120万円まで投資することができ、5年間の収益が非課税になります。増えた分の収益をまるまる受け取ることができるのです。ほとんどの証券会社ではNISA(少額投資非課税口座)で投資信託の積み立てができます。

また、2018年1月からの積立投資専用の非課税口座「つみたてNISA」も始まります。収益が非課税になる点は、通常のNISAと同じ。年間の積立額は1人あたり元本で40万円まで、最長20年間の収益が非課税になります。「つみたてNISA」で利用できる投資信託は、金融庁のサイトに公表されています。

そうはいっても、やはり投資はリスクがあるから…。そういう人も、少額からの積み立てにすることで、リスクを減らして値動きに慣れることができます。

例えば一度に300万円を投資して、価格が2割下がってしまったら、損失は300万円×0.2=60万円。しかし1万円の積み立てなら同じ2割の値下がりでも1万円×0.2=2000円です。そして次の月の積み立ては、1万円が1割値上がりするかもしれません。積み立てにして少額から何度かに分けて買うことで、同じ値下がり率でも少ない金額ですみ、買うたびに価格が異なるので、値下がりと値上がりを平準化していくことができます。少額とは言え自分のお金ですから、価格が上がったり下がったりすれば、どうして? と疑問に思うことから、政治経済のニュースも気になるようになります。その時々の出来事が株価などにどう影響するか、実感をもって学べます。資産運用の知識も、積立投資をしながら増やしていけばいいのです。

金融資産が少ないなら毎月の積み立てに投資の積み立てを加えよう

若くて、まだ預金が少ないなら、積み立てで預金を殖やしながら、積立投資も平行して行う方法があります。例えば毎月3万円を積み立てるなら、2万円を定期預金に、1万円を投資信託で積み立てる。定期預金と投資信託の割合は自分の給料や預金残高、毎月の積立額から決めればいいでしょう。

定期預金の金利は、ずっと低い状況が続いています。値動きはしますが、長期では一定の運用利回りを期待できる可能性のある投資信託を組み合わせることで、自分の貯蓄全体の運用利回りを上げる効果もあります。

・ 毎月3万円を定期預金だけで積み立てたとき 
・ 毎月2万円を定期預金、1万円を投資信託で積み立てたとき
の違いを見てみましょう。

定期預金の金利は年0.1%、投資信託の運用利回りは年1%、2%、3%の3パターン。いずれも複利計算。定期預金の利息からは20.315%の税金を差し引き、投資信託は非課税口座を利用すると仮定して収益は非課税とします。

それぞれのケースの積立残高の推移は次の通りです。

毎月3万円を積み立てると20年後には元本が720万円になります。定期預金の利息は20年間の合計で5万7817円。投資信託を3分の1入れることで、投資信託の想定運用利回りが年1%なら29万2882円、年2%なら58万829円、年3%なら90万7057円増えています。この運用利回りの差による違いは期間が長くなるほど大きくなります。

若いほど長期にわたる積み立てが可能となり、時間を味方につけられます。積み立ても投資も、早くはじめるにこしたことはありません。まとまったお金がない人も、資産形成のための積立投資を検討してみませんか。

日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
フィナンシャルプランナー 坂本綾子
日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

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