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貯まらないから抜け出したい!資産形成はどのようにして始めたらよいのか。FP風呂内亜矢さん

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『その節約はキケンです-お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか』や『超ど素人がはじめる資産運用』など、数多くの初心者向けの金融系書籍を発表し、テレビや雑誌など多岐にわたるメディアで活躍中のファイナンシャルプランナー・風呂内亜矢さん。

貯蓄額80万円でマンションを購入した経験を持ち、現在はご夫婦で4つの物件を保有するまでとなった風呂内さんに、初心者でもつまずかない資産形成のポイントをお聞きします。

貯金80万円でマンション購入 この決断がライフプランを大きく変えた

──風呂内さんがお金の問題に関心を抱くようになった経緯は、会社員時代に単身でマンションをご購入されたことだと伺いました。どのような経緯で購入に至ったのですか?

風呂内さん:最初にマンションを購入したのは26歳のときです。当時は実家暮らしをしていたのですが、入社3年目を迎えてそろそろ1人暮らしをしたいと考え、新築のアパートに賃貸契約をしたんです。ところが、入居3週間前になって大家さんから入居できないという連絡があったんです。理由は、大家さんが知人の連帯保証人になって建築がストップしたということでした。

それでも1人暮らしが諦めきれずにいたところに「今の家賃と比べてみませんか?」という、よくあるマンションのチラシが目に入り、マンションの購入を決めました。予定していた家賃と住宅ローンの毎月の返済額は同じくらいなのに、部屋の広さは2倍だしクオリティも高くて「こんなにいい条件なら買うっていうのもあるかしら?」と、考えたんです。ですから、最初は勢いで決めたといえますね。諸費用の知識すらなかったのですから。

──勢いとはいえ、いざ住宅ローンを組む際に自分の名義で借りるときには覚悟が必要ではありませんでしたか?

風呂内さん:そうですね。完全にそこでお尻に火が付きましたね。本当にマンションを買うってことになって、慌てて周りの子に「いくらくらい貯金ってあるの?」と聞いたら、1人暮らしをしている同期が400万円もっているっていうんです。一方、私は、実家暮らしにもかかわらず80万円しかなかったんですよ。

そこで私自身「これはマズい」と気づいたんです。その日から入居までの1年で160万円貯めたんですよ。火が付けば人って貯められるんだと、そこで実感しました。

──近年、シングルで住宅ローンを考えている人が増えていますが、アドバイスはありますか?

風呂内さん:私自身、独身だったので、あまり広い部屋を買ってしまっては手に負えないのではないかという考えはあって、小さな部屋にしたのですが、その決断が後になって良かったと思っています。最初の物件が当時の身の丈にあったものでしたので、その後、結婚してライフステージが変化したときに、その物件を賃貸にだして、2件目を購入しようという考えに至ったんです。

そして、返済に関しても良かったと思います。借り入れは一般的に自分の年収の7倍くらいまで借りられますが、私の場合は4倍以内に抑えることができました。もしも、全力で買っていたら2件目を購入できなかったでしょうし、今のような学びにもつながることはなかったと思います。

他にも、女性の場合は婚期が遅れるという迷心もありますが、パートナーになる人に返済計画を説明して負担をかけないと約束できれば、結婚の邪魔になることはないと思います。むしろ、住宅ローンを組むことで、保険の見直しにつながったり、お金の勉強を始めるきっかけになったり、節約や資産計画も立てられるようになり、利点も多いと私自身は実感していますよ。

無理せずお金が貯まる生活習慣を作れば資産形成は誰でもできる

──資産形成にもきっかけが大切ですね。

風呂内さん:資産形成を意識するきっかけというのは、大きく分けて2つしかないと考えています。1つめはお尻に火が付くか、2つめは願っている夢と自分が置かれている環境とあまりにかけ離れていると気づくことの2つですね。

私はそれまで、お金があればあっただけ使う生活をしていましたが、貯めようとしなければ貯まらないと、気づいただけで、6倍速でお金が貯まっていったんです。でも、そんなに何かを我慢したということもなく、派手に習慣を変えたわけでもなく、友人とも遊んでいましたよ。3年間で80万円しかためられなかったときと、1年で160万円を貯めたときの生活って、実はそんなに劇的な変化があったわけではないんです。

─具体的にはどのように生活習慣を改めたのでしょうか?

風呂内さん:小さな出費に注目するようになりました。たとえば、仕事中にコーヒーを飲みたいときにもカフェで400円のコーヒーを飲むのではなく、1杯30円のドリップタイプのコーヒーをデスクに入れて置けば、ホッと一息つくためにわざわざカフェでお金を使う必要はないんだなと気づいたり。

アグレッシブなパターンだと、それまではいろんなグループで別々に、しかも夜に遊んでいたのですが、それを3グループくらいまとめて週末に20人くらいのランチ会を企画しましたね。すると、それまで5回のディナーが1回のランチで済むんですよ。友達同士も仲良しになっていいことも多いですし。

あとはボーナスには手を付けなくなりましたね。コツは目に見えることから変えていくことですね。少しずつ変えていくだけで、結構な貯蓄になるんですよ。

──では、逆にお金が貯まらない人の共通点はなんでしょうか?

風呂内さん:小さなお金に気を使わないことですね。そういう人は少額が及ぼす影響の大きさに気づいていないんです。たとえば、節制する習慣というのは、一つ飛ばしにできることではありません。ずっと30万円を使ってきた人が、いきなり25万円で生活するのは難しいんです。でも、毎日カフェの400円のコーヒーを飲んでいた人が、30円のドリップに変えるだけで、月約1万2,000円の出費が900円にまで減らせるんですよ。それだけで1万円以上の節約になるんです。

1つ習慣を変えたら、それが当たり前になるまで続けていって、慣れたらまた1つ習慣を変えるというふうに、1個ずつ変えていくと負担が少なくて、成功率もあがります。継続することのパフォーマンスというのは大きいんです。1日では大した節約にならなくとも、1年、10年、20年のスパンで考えると大きな資産につながっていくんです。

先ほどのコーヒーの例で確認しますと、1日370円の節約で、1年で13万5,050円、10年で135万500円、20年で270万1,000円の差につながります。また、22歳で入社して、60歳で退職すると考えますと、会社勤務の年数38年間で、退職時に513万1,900円の資産の差がでます。こう考えるとやる気もでますよね?

貯まる習慣が身に着いた後でも油断は禁物

──風呂内さんはこれまでさまざまな人の貯蓄プランのアドバイスをされてきたかと思いますが、貯蓄に失敗する人の典型的な例はありますか?

風呂内さん:30万円くらい貯まると旅行に行きたがる人が多いですね。30、50、100万円あたりが鬼門です。0円から100万円貯める期間と、100万円から200万円貯める期間を比較すると、圧倒的に後者の方が早いんですけど、100万円を超えると、130万円から110万円、そして130万円と行ったり来たりする人が多いですね。認知しやすい数字なので意味を持たせてしまうのでしょうか。

──どうすれば貯めた資産をキープできますか?

風呂内さん:目の前にまとまったお金があると使いたくなってしまうのは仕方ないので、見えない場所に置くことが大事ですね。「30万貯められたんだから10万くらい使っても、あと20万円あるし」って思ってしまうことが失敗の原因です。これは根本的にみんな同じなので、意思が弱いんじゃないかと自分を責める必要はないですよ。みんなお金があったら使いたいものなので、仕組みさえ作っておけば大丈夫です。

──貯蓄に挫折しないためのポイントはありますか?

風呂内さん:お金も食べ物と一緒で、腹八分目の消費を目指すということですね。何かを買おうとするときに、相対評価をしようとする人が多いんですよ。たとえば、同じ会社で同じ年齢の同僚が〇千万の家を買ったので、自分も同等の家が買えるのではないかと考えてしまいがちです。しかし、実はその同僚は貯蓄が上手なのかもしれないし、親の援助があるかもしれません。

同じ会社で同じ年収でも、それぞれが持っている背景によって、経済状況というのは全然変わってくるんです。ですから、年収はたいしたファクターではないんです。それを見誤る人が多く、特に収入が多い人はその傾向にありますね。「どうも日本人の平均年収は400万円らしい」と聞くと「それなら自分は年収800万円だから、平均年収の人の2倍の贅沢をしていいだろう」という相対評価をしがちで、身の丈を見誤りやすいんです。

そうではなく、もし物件を買うとしたら、自分の年齢で今の支払い状況で返していけるのかということを考えるべきです。相対評価が参考になる部分も勿論あるんですけど、だいたい過剰に評価しがちで、腹八分の消費ではなく満腹まで使ってしまうんです。ですから、自分が思っているより2ランクくらい下の生活を目指していくと、無理なくお金を健全に使えると考えられますね。

──住宅ローンを例に出すと、平均年収の2倍の年収があるからといって2倍のスピードで返済計画を組むという考え方は良くないと?

風呂内さん:そうです。日本の所得税は累進課税ですから、年収が上がればそれだけ税金もあがります。年収が2倍でも手取りは2倍ではないと考えるとわかりやすいと思います。総じて、相対評価は見誤りがちですので、自分は本当にそれでいいのかとじっくり考えてみるのと、考えていることの2ランク下、これは何を買うにしてもそういう判断をすればおおむねお金は貯まりやすいですね。

また、高収入にもかかわらず貯められない人の典型として「その気になったら貯められる」と思っている人が多いこともいえます。でも、それは確かに事実ですよ。ハッと気づいた時に一気に貯められるのは、収入が高い人ですから。でも、ずっと気づかずに高コスト体質でそのままセカンドライフに入ってしまうと、とても大変ですので、やはり長い目線でみないといけませんよね。

──実際に高収入にもかかわらず資産形成が上手くいかない人もいますか?

風呂内さん:いますよ。収入が多い人はやはり忙しい人が多いので、お金の管理や家計の管理にパワーをさけていない人が多いとも言えますね。お金の節制や家計管理を行って資産を形成していくことって多少手がかかるんですよ。それを時給換算したときに割に合うかというと、あわないとバサッといってしまう人って多いんですよ。短期間で目に見えた成果を求めようとすると、そこを切り捨てるという選択にいってしまうんですけど、長い目で見て気を付けていけば5年後にはきっと変わっていますので、諦めずに取り組めば誰でも資産を作ることはできますよ。

風呂内 亜矢さん(ふろうち・あや)
ファイナンシャルプランナー
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
26歳独身の時、貯金80万円しかもたずマンションを衝動買いしたことをきっかけに貯蓄、投資、お金の勉強を始める。現在は夫婦で4部屋のマンションを所有し、賃料収入も得ている。2013年独立。身近で親しみやすいお金の解説に定評があり、新聞、テレビ、ラジオなどで、情報発信を行っている。

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