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今年の相場は水曜日が弱い?― 兜町カタリスト櫻井英明のここだけの株話

 

「我慢ができれば」

4月第3週までの2018年曜日別星取表(2018年1月4日~4月20日)

月曜日 8勝5敗
火曜日 9勝6敗
水曜日 4勝10敗
木曜日 10勝6敗
金曜日 7勝9敗

2017年曜日別星取表
月曜日 26勝20敗
火曜日 20勝31敗
水曜日 31勝20敗
木曜日 25勝25敗
金曜日 27勝22敗

2016年曜日別星取表
月曜日 26勝21敗
火曜日 28勝23敗
水曜日 23勝27敗
木曜日 25勝22敗
金曜日 26勝24敗

今年は異常に水曜日の勝率が弱いことが目立ちます。
一方、月曜日・木曜日が高いのも目立っています。
でも昨年(2017年)は水曜日が勝率トップで火曜日だけが負け越し。
一昨年(2016年)はほとんど差がありませんでした。
面白いことにほとんど因果関係はありません。
でもわずか4ヵ月で10敗もすると、何となく情緒的に「水曜は弱い」と思いがちなもの。
そして4ヵ月で10勝もすると「木曜は高い」という錯覚に陥りがちなもの。
プロ野球だって、夏から秋口にかけて首位に立っていれば良いのですが、日々勝ちを求めがち。
株もどういう訳か日々上昇を求めがち。
「上げ100日下げ3日」という格言があります。
100日かけて上がった株価はわずか3日で消えてしまうと言う意味。
あるいは「天井3日、底100日」という格言。
「相場が高値にある期間は短いですが、底値の期間ははるかに長い」という経験則です。
「我慢ができれば一人前のプロ投資家」というのもあながち間違ってはいないでしょうが、なかなか我慢ができないのも相場です。

マーケットは生き物。
しばしば「材料出尽くし」(注)ということが言われます。
ある工作機械メーカーの株価は、ここ数年決算発表直後は決算が良くても売られて、その後高値を取りに行く傾向があります。
だったら、最初から「いつかきた道」と思えばいいのでしょうが、どうもそうならないから面白いものです。
必要とされるのはたぶん昔ながらの「株心」という代物かも知れません。
言い換えれば市場は「天邪鬼(あまのじゃく)」。
大半の市場関係者が思う方向には行かないことが多いものです。
だったら多数意見の反対を時間軸を変えて支持すれば良いのかも知れません。

地方遠征(いわゆる講演会)が多いので飛行機に良く乗ります。
飛行機では大体はイヤホンをして落語を聞きます。
しかし、落語の話が佳境になってきたときにしばしば途切れます。
「本日は当機をご利用いただきありがとうございます。
機長の〇〇です。
・・・・
安全のためシートベルトはシッカリお締めください」。
機長の名前を知ったところで何の意味もありません。
シートベルトも常に締めています。
だから「落語の流れの邪魔をしないで」と思うことしばしば。
これと同じことが相場でもしばしば起こるのではないでしょうか。
気持ちよく相場に接していると登場して邪魔するアナウンス。
機内放送が終われば、相場もまた続きます。
ネガティブイベントも所詮機長のアナウンスと思えば気にならなくなるでしょう。

今の株式市場で求められているのは「自分で考えること」。
もはやいつの間にか「NYの写真相場」なんてイージーな相場観では戦えなくなってきている気がします。
自分の脳で自分の考えで、東京市場の相場観が固まり、それが地球を時計回りしている印象。
この時間差の変化に気づかないと、いつまでたっても「様子見」とか「見極めたい」なんて玉虫色の世界から抜け出せない可能性は高いでしょう。
フォークボールを投げると決めてカーブの握りをする投手はいません。
でも株式市場では頻繁にそれが起こるからややこしい場所です。
バッターとしては全部直球勝負でいいのではないでしょうか。

(注)材料出尽くし【ざいりょうでつくし】
好材料であれ、悪材料であれ株価材料の中身と逆に株価が動いた時に使われる言葉。
たとえば増収増益で株価下落。
あるいは赤字転落で株価上昇。
こういう解釈不能の際に市場関係者が一言で済ませることが可能な呪文のようなもの。
多くのことは「材料出尽くし」で片付けられるが、所詮刹那的な見方。
株価の動きの本当の理由は闇の中ということが多い。
材料出尽くしで本当に出尽くしたことは稀というのが経験則。
面白いことに「材料出尽くし=失望感」の活字は頻繁だが「好材料=期待感」は滅多に聞かれない。

 

櫻井 英明(さくらい えいめい)
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。
幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。

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