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よくわかる信用取引~「買い残」「売り残」「信用倍率」とは?

【★基礎からわかる「テクニカル分析」入門9-1】

信用取引が、いつ・どれくらいされたのか、ということを知ると、予測される将来の値動きや投資家の思惑が見えてきます。

株価のチャートだけではわからない情報が詰まっていますので「信用取引なんて怖いからやらないよ」という方も、読みかたを知っておいたほうが良いでしょう。

信用取引とは? お金や株を“借りて”取引する

「信用取引」とは、証券会社からお金や株を借りて買ったり売ったりすることです。

お金を借りて、手持ちの資金以上の株式を買うことができるのが「信用買い」。そもそも自分が持っていなかった株を証券会社から借りて、売ることができるのが「信用売り(=空売り)」です。


通常の現物取引よりもリスクが高い取引ではありますが、手持ちの資金が少なくてもレバレッジ効果でより大きな利益をねらうことができたり、下げ相場でも利益をねらうことができたりして、使いかた次第で資金効率を高めることができる取引です。

もちろん借りたお金や株は返さなければなりません。一般的に行われる「制度信用取引」では、返す期限が6ヵ月と決められていて、その日までに反対売買を行って借りたお金や株を返す必要があります。

返すまで6ヵ月あるといっても、借りている期間は金利などのコストもかかるため、現物取引に比べて短期売買が主流です。このような現物にはない特徴がある取引をしている参加者もいるということをふまえて、需給への影響を考える必要があります。

「信用残高」とは?

まだ決済されていない信用取引がどれくらい残っているかを表す指標を「信用残高」といいます。まだまだ上がるor 下がると思って決済しない人もいれば、想定とは逆の値動きになって含み損を抱えてしまいズルズルと決済できていない人なども含まれます。この残高は将来的に反対売買される可能性が高いものといえます。

★信用残高には「買い残(かいざん)」と「売り残(うりざん)」がある

買い残(=証券会社がお金を貸しているので融資ともいう)」…信用買いをしたけれど、まだ決済していない残高。将来の売りエネルギーになる可能性がある。

売り残(=証券会社が株を貸しているので貸株ともいう)」…信用売りをしたけれど、まだ決済していない残高。将来の買いエネルギーになる可能性がある。

実際の買い残と株価のチャートを見てみましょう。

①の買い残の絶対水準が少ない状態での買い残の増加は、短期的には株価の上昇要因にもなります。

②で買い残がある程度積み上がった状態から、もう一段の買い残の増加があったとしても、株価の上昇ピッチが鈍った場合、これは将来の上値圧迫要因となります。

③は信用取引の決済期日が近づき、一時的な需給悪化から株価が大きく調整するケースです。このケースでは、買い残が一気に半減していることがわかります。

買い残と売り残のバランスがわかる「信用倍率」と「貸借倍率」。違いは?

買い残と売り残の比率を知る指標として「信用倍率」と「貸借倍率」があります。どちらも買い残÷売り残で計算しますが、少しだけ違いがあります。

「信用倍率」は、前週末時点で算出したものです。一方「貸借倍率」は毎営業日公表されているので速報性があります。(貸借倍率の計算対象は制度信用取引のみで、一般信用取引は含まない。)

信用倍率や貸借倍率は、信用買いが多いと買い残が増え1倍より大きくなります。逆に信用売りが多いと売り残が増え1倍以下になります。今後上がるのか下がるのか、どちらを予想している投資家が多いのかがわかります。(基本的には1倍より大きいことのほうが多く、1倍を割り込むと底打ちしたと判断され、その後上昇する可能性が高くなる)

さて、今回は信用取引の基本的なしくみのお話でした。次回は相場の需給や地合いをみる「回転日数」と「信用評価損益率」の見かたを解説します。

>>次のレッスン「よくわかる信用取引~『回転日数』『信用評価損益率』とは?」

>>【連載】これからの相場をテクニカル視点で読む! 中村克彦のテクニカルコラム
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