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「洒落た相場言葉」― 兜町カタリスト櫻井英明のここだけの株話

「洒落た相場言葉」

「植木屋の庭」のような相場心理。
その心は「気(木)が多い」。
そして、市場はうどん屋の釜のようなコメントばかり。
その心は「ゆうだけ」。
あるいは、去年の暦(当てにならない)というのもあるでしょう。
「曲がった松の木」で「走らにゃならぬ」の雰囲気も出てきました。
「曲がった松の木=柱にゃならぬ」という洒落ですが、もう一つの「曲がった松」もあります。
禅問答に登場する「曲がった松の木」。
「この松を『曲がった松だな』と見るのが、まっすぐに見るということ。
曲がりくねった松を、まっすぐに見ようとしているから、見ることができない。
曲がった松を曲がった松と見るのが、『まっすぐ見る』ということ」。
言葉の遊びのようにも思えますが、意外と相場でも共感できる場面があるかも知れません。
「焼き豆腐の心底」(水の中も火の中もくぐる)という危ない投資心理はなくはありません。

熟練した市場関係者の至言。
「勢いある銘柄を買い、勢いよくさばく(売る)」
これが、実は一番簡単。
つまり、「高く買って、高く売る」。
これが一番簡単で、しかも、取れる可能性が高いのでしょう。
安く買って高く売るのは至難の業。
「安く買って高く売ることばかりにこだわっていると、チャンスを逃してしまいかねない」。
つまり、株式投資は「自分の買値よりも上で買ってくれる投資家探しのシナリオ」といえるのかも知れません。

「ニュースが先?」

考えておきたいのは、ニュースが先なのか、株価変動が先なのかということ。
常識的には、「株価はニュースに反応する」なのでしょうが、どうも個人的には「ニュースは株価に反応する」と思えてなりません。
確かに、動意のなかった銘柄が、新製品や好業績の報道で突飛高することもあるでしょう。
でも、多くの場合は、株価が動意づいてくるとニュースが登場するような気がします。
まったく逆の発想ですが、やはり火のないところで煙がくすぶるよりは、種火程度でもあるところの方が火はつきやすいもの。
そういう視点で見てみると、ひょっとすると市場から明日のニュースが読めるのかも知れません。
そして、そうなったらいいな、というのが永遠の願望ではあります。
明日の新聞記事がわかる気がする、というのはほぼ不可能で錯覚に近いもの。
それでも、チャレンジしてみる価値はありそうです。

市場関係者のコメントの聞こえ方を分類してみると・・・。
(1) 株価上昇時の強気コメント
→ 勇ましく、あるいは荒唐無稽に聞こえる
(2) 株価上昇時の弱気コメント
→ 臆病に、あるいは知的に聞こえる
(3) 株価下落時の強気コメント
→ 愚かしく聞こえる且つすがりたくなるもの
(4) 株価下落時の弱気コメント
→ 賢げに聞こえる且つ聞きたくないもの
加えれば・・・。
(5) 株価膠着時の強気コメント
→ 根拠なく聞こえる
(6) 株価膠着時の弱気コメント
→ 投げやりに聞こえる

「カレーライスと株価の関係」

その昔、「カレーライスと株価の関係」という興味深い研究がありました。
結論は、「国民がカレールーに支出する金額が増えると株価は上昇。その相関係数は0.7と高い」。

その理由(1)
仕事や生活が充実していると、料理にかける時間的余裕が減少。
だから翌日でも美味しい筈のカレーが好まれる。
この際、仕事や生活の充実は、景気や株価の上昇に関連している。

その理由(2)
辛いカレーを食べたいと感じるときの気持ちはポジティブ。

意外と間違っていないような気がします。
ストボ(STOCKVOICE)では、株価低迷期に敢えてランチにカレーを食して験を担ぐこともありました。
気分的に効果はありそうな気配です。
最近では、「冷やしきつね2枚盛り」が結構効き目があるようですが、理由は定かではありません。
明治時代の立ち合い時間中の立会場は、開けっ放しだったといいます。
隅にお茶飲み場があり、寿司や菓子を売っていたとも。
市場内に「江戸銀」という寿司屋の出前屋台もあったという話。
鰻は「うなぎのぼり」、天ぷらは「あがる」。
昭和になってからは、株高の日の昼は「うなぎ」。株安の日の昼は「そば」。
焼き鳥屋さんが多いのは不思議なことでもあります。
そもそも、兜町に棲息する人々は結構ゲンを担ぎますから、どこに地雷があるかわかりにくいもの。
それが面白くもあります。

 

櫻井 英明(さくらい えいめい)
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。
幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。

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