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「ポエム」― 兜町カタリスト櫻井英明のここだけの株話

「ポエム」

様々な替え歌チックなポエムを、もう10年近く作ってきました。
「兜町ポエム」と呼んでいますが、これが増えてくると株価は調整になる傾向があります。
「櫻井さんが替え歌を作り始めると、ダブルインバースがそこから上がる」と市場関係者。
別の市場関係者は、「替え歌が出ると株が下がる」。
「兜町ポエム」で、株価下落の個人的アノマリーということかも知れません。
もっとも・・・。
この因果関係は結構微妙です。
替え歌があるから下がるのか、下がっているから替え歌が浮かぶのか。
結構判断に苦しむところです。
そもそも、順風満帆で株価が右肩上がりのときに替え歌はなかなか浮かびません。
替え歌にするのは、「明日は頑張ろう」的に鼓舞するものが多いもの。
悩み深くないときに必要はありません。
一方で、下げ局面では、それこそ1日に3曲くらいは当たり前に作れます。
1曲あたり約10分。
あっという間に出来上がります。
「悲しみ」だとか「明日」だとか「愛」。
あるいは、「思い出」なんてキーワードは株価上昇時には用なしなのでしょう。
というか、頭に浮かんできません。
アノマリーにもそれなりの理由があるということもできるでしょう。

「西向くサクライ」のアノマリー

「西向くサクライ」というのも十年来の個人的アノマリーです。
セミナーなどで全国を巡っていますが、西へ向いていくとなぜか株高になることが多いようです。
以下は今年の西向くアノマリー。
1月25日(金)後場 熊本
日経平均株価 198円高

2月15日(金)引け後 福岡
週明け2月18日(月)の日経平均株価 381円高

2月28日(木)引け後 松山
翌3月1日(金)の日経平均株価 217円高

「もう東京に戻ってこないで」という投資家さんも結構多いです。
何年か前に石垣島に行ったとき。
前引け直前の羽田離陸前の日経平均株価は200円近く下落。
石垣空港に着陸した直後の大引けは250円高。
自分でも不思議でした。

「犬の尾」

「犬の尾が胴体を振り回す」なんてことは実際にはあり得ませんが、相場の世界では先物と現物の関係でしばしば見受けられること。
特に、最近は「先物主導の展開」という言葉での相場解釈が横行。
所詮、指数先物やオプションだって言葉こそ難しそうに聞こえますが、上がるか下がるかの世界。
そんなに神経質になる必要はないでしょうし、それこそ市場が尾に振り回されるのは本末転倒。
「思惑的な動き」とか、「意図的な売買」なんて確認のしようもないような解釈でわかったようなつもりになることこそ戒めたいところです。
そもそも、刹那的な「仕掛け陰謀論」などという高尚な世界の話ではない筈。
万が一「仕掛け」的なものがあるならば、その「仕掛け」に欺かれる方の負け。
あるいは、「意図的な売買」といっても株式市場はもともと「意図的な売買」の集積。
刹那的に部分部分を顕微鏡的に見ることの愚は指摘されません。

とはいえ、先物の世界が拡大し、市場を徘徊しているのも事実。
避けて通ることはできません。
多少、かじっておくことは必要でしょう。

マーケットは、レンジとトレンドの2つの世界での縄張り争いをしているようにも見えます。
レンジというのは、ある一定の範囲での値動き。
トレンドというのは、上昇か下落という明確な方向性を持った値動きと解釈しても良いでしょう。
その意味では少しややこしいかもしれませんが、オプションの世界を多少かじっておくと、チンプンカンプンな解説も少しは理解できるようになるでしょう。
覚えておく言葉はそんなに多くはありません。
まずは、コール(買う権利)とプット(売る権利)の二つ。
コールは英語のcallで「要求する」という意味。
コールを買うと、行使価格での取引を売り手に要求することができます。
場合によっては高い価格のモノを安い価格で買い付けることを、売り手に要求できます。
プットは英語でputで「課す」という意味。
プットの買い手は、売り手に行使価格で買い取ることを課すことができる権利を持ちます。
ですから、買う権利の売り買いと、売る権利の売り買いの4種類に取引があります。
そして、あと3つ。
イン・ザ・マネー(in the money)とアウト・オブ・ザ・マネー(out of the money)、アット・ザ・マネー(at the money)です。
これらは競馬用語に由来するとされます。
予想の範囲ならば通でイン・ザ・マネー。
アウト・オブ・ザ・マネーは大穴狙い。
アット・ザ・マネーは大本命でチャラというところでしょうか。
ややこしい言葉は、最初はたった二つで良いでしょう。
一つは「ロングストラドル(アット・ザ・マネーのコールとプットを買う=現値付近での買いと売りのポジション)」。
ストラドルは、「足を広げる」の意味=株価が上下変動すれば儲かるポジション)です。
もう一つはショートストラングル(アウト・オブ・ザ・マネーのコールとプットの売りのポジション)」。
ストラングルは、「閉じ込める」の意味=株価が動かなければ儲かるポジション)です。
すこし難しいですが、要は時間的制約の多いオプションの世界が値動きの荒さを予測しているのか、平穏な動きを予測しているのかをみるということ。
単にコールだ、プットだと騒ぐよりは、よほど気が効いているように思えます。

 

櫻井 英明(さくらい えいめい)
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。
幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。

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