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インド経済をおさらいする

India
(写真=PIXTA)

 インドは、中国に次ぐ世界第2位の人口の国です。国連の予測によると、2022年にはインドが中国を抜き、世界最大の人口の国となる見通しです。

 2015年度のインドの経済成長率は7%です。中国も2014年までは7%台を維持していましたが、2015年に7%を割るなど経済成長が鈍化してきています。インドは増え続ける人口とともに、経済成長を続けることができるのでしょうか。

10年ぶりのインド新政権と強いリーダーシップをもつモディ首相

 今のインド経済を語るうえで欠かせないのが、首相であるナレンドラ・モディ氏です。2014年に行われた総選挙では最大野党が圧勝し、単独過半数を占める安定政権となりました。インドにとって10年ぶりの新政権ということで、世界中から注目を浴びました。そして、この新政権を率いるトップとなったのが、モディ首相です。以前、グジャラード州の首相(行政トップ)を務めた時代に、大改革を行って州経済を発展させた実績があります。

 インドでは、貧富の差や宗派の対立などもあって、インフラ整備が進んでいない地域が多くあります。インフラが整っていないと産業を発展させられず、雇用を生み出せないという悪循環が経済発展の大きな足かせになっています。さまざまな理由から、外資系企業の参入も難しいと考えられていました。

 モディ氏はそこに目をつけ、強力なリーダーシップで外資に対する大幅な規制緩和を行い、外資系企業を誘致してインフラ整備を行い、雇用を生み出しました。2014年の総選挙では、この実績をインド中に広めることを掲げていました。電力や水道などのインフラ整備を待ち望んでいる国民からは、大きな期待を持って歓迎されました。

モディ首相の公約「モディノミクス」とは

 モディ首相の経済改革は「モディノミクス」とよばれています。「アベノミクス」の3本の矢と同じように、「モディノミクス」の主な政策にも3つのメッセージがあります。

 一つめが「メイク・イン・インディア(インドでものづくりを)」で、インフラ整備と外資誘致を行うことによる雇用の創出を、インド中に広めていくことです。二つめが「クリーン・インディア(スワッチ・バーラト)」。インドは汚いというイメージを払拭すべく、衛生面の改善を図るキャンペーンも始めました。
三つめが「デジタル・インディア」で、ITを通じてインドを知識経済社会に変革することです。

 いずれも始まったばかりで、長い時間がかかるといわれています。ただ、モディ首相は、就任直後からモディノミクスを掲げて各国を訪問する外交を積極的に行っており、投資の誘致や国際協力などで効果をみせています。

突然発表されたラジャン中銀総裁の退任

 モディノミクスを支えているといわれているのが、中央銀行にあたるインド準備銀行のラグラム・ラジャン総裁です。高インフレに悩む中、金利の引き下げでインフレを抑制し、通貨の安定を図るという政策を行い、モディノミクスに貢献してきました。

 このラジャン総裁ですが、任期が終わる9月で退任すると表明したことで世界を驚かせています。もともと大学教授だったので大学に戻るそうですが、インド経済にとって重要な役割を果たしているラジャン総裁のわずか1期での退任は、大きな衝撃を受けました。モディ政権の改革を支える後任総裁が誰になるのか、注目が集まっています。

日本との関係は? インドが新幹線方式を採用

 日本とインドの間で国交が樹立したのは1952年です。ここ数年は毎年のようにいずれかの国の首脳が相手国を訪問し、首脳会談を行っています。

 2015年の日本からインドへの輸出は機械や鉄鋼製品、電気機器などを中心に9,813億円、インドから日本への輸入は石油製品(揮発油やナフサ)やダイヤモンド、魚介類や衣類などを中心に5,887億円となっています。

 インドは日本からの輸入品の多くに高い関税をかけていました。たとえば、自動車部品は10%、鉄鋼製品は5%などです。しかし、2011年には日印経済連携協定(EPA)が発効しています。発効後の10年間で、両国の貿易額の94%について関税が撤廃されることが決まっています。

 また、日本からインドへの直接投資は、2015年度で2,877億円となっています。インドは日本の円借款の最大受取国となっており、2013年度で約3,650億円となっています。(円借款とは、インフラ整備を目的に、国際協力機構を経て日本から行われる長期・低金利の貸し付けのことです。)

 最近あった大きな動きとしては、インドが日本の新幹線方式採用を決めたことでしょう。これは2015年12月の安倍首相とモディ首相の首脳会談で合意に至ったものです。

 インドには高速鉄道計画がいくつかあるようですが、そのうち新幹線方式を採用するのは、インド最大の都市ムンバイから工業都市アーメダバードまでの約500キロメートルです。アーメダバードは、モディ首相が以前、州首相を務めたグジャラート州の主要都市でもあります。

 両国は緊密な関係を築いてきたようにみえますが、日本からインドに進出している企業は1,200社ほどです(2014年末時点)。中国には2012年末時点で2万社以上が進出していますから、決して多いとはいえません。しかし、外資参入に理解のあるモディ政権が続けば、今後は日本からインドに進出する企業も増えるかもしれません。

 モディ政権が発足して約2年が経ちました。ラジャン総裁の金融政策に対しては、一定の評価を受けているようです。しかし、総裁の退任もあって、今後の行方には不安定要素も多く、動向が注視されます。

 今後、インドの人口は世界一になるとみられています。モディ首相の力強いリーダーシップが引き続き発揮されることを、世界各国が期待しています。

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