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大阪府で「自転車保険」の義務化? その仕組みと注目されている理由

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 2016年7月から、大阪府で自転車条例が制定され、自転車保険への加入が義務化されました。これには、自転車による死亡事故の増加や高額賠償事例の発生などが背景にあります。たとえば2013年7月には神戸地裁で、小学生が自転車で当時62歳の女性をはねた事故について、約9,520万円の支払いを命じる判決が出ています(子供の母親に対し請求)。こうしたことから、大阪府以外でも自転車保険への注目が高まっています。

傷害保険+個人賠償責任保険=自転車保険

 大阪府自転車条例では、「自転車利用者は、自転車損害賠償保険等(自転車の利用に係る交通事故により生じた他人の生命又は身体の被害に係る損害を填補することができる保険又は共済をいう。以下同じ。)に加入しなければならない」(第12条第1項)とあります。

これは、 自転車専用の保険への加入を義務付けているわけではなく、事故の損害をカバーができる保険、たとえば自動車保険や火災保険などと併せて「個人賠償責任保険」に加入しておけばいいわけです。契約によってはこれらの保険に特約として付帯しています。ちなみにクルマには自賠責保険という強制加入の保険がありますが、自転車にはありません。

 自転車保険を大きく分けると、事故によって怪我をした場合の「傷害保険」と、誰かに怪我を負わせたりモノを壊したりしたときの損害賠償をカバーする「個人賠償責任保険」の2つで構成されています。加入を検討する際は、自分が怪我をしたときの補償額よりむしろ「個人賠償責任保険」の充実度や保険金額を比較検討したいところです。

 自転車保険は、自転車に乗っていた時の損害でなくても補償してくれます。自転車保険という名前ですが、実は自転車以外にも電車や、自動車、船舶などの交通乗用具に起因する事故にも備えた保険なのです。自転車保険の傷害保険はこの「交通事故傷害保険」がほとんどで、電車や自動車、船舶などに乗っている時の事故で怪我をしたら、保険金を受け取れる可能性があります。

適用されない場合とは

 保険に加入するときに心配なのは、「どんな場合に保険金がおりないのか」ということです。

 まず、被保険者に明らかに重大な過失がある場合は保険金はおりません。典型的なのは飲酒運転ですが、これは自転車であっても致命的な過失なので保険金を受け取ることはできません。また、禁止されているような薬物を服用して事故を起こしても、保険金はおりません。

 けんかや暴力的な行為で起こった事故も、補償対象外となります。故意による事故の疑いがある場合、保険金詐欺の疑いがある場合、それから同居している親族に対する事故の場合も保険金はおりません(故意に事故を起こした可能性があるため)。また外国での事故、地震や噴火、津波といった自然災害による事故も保険金はおりません。電動自転車(フルアシストタイプ)は原動機付き自転車として扱われ、自賠責保険の守備範囲となるため、そもそも自転車保険には入れません。仕事中に起こった事故の場合も保険金はおりませんので、注意してください。

 自転車保険であれ賠償責任保険の特約であれ、掛け金は月数百円とわずかなことが多いようです。「個人賠償責任保険」はいま加入している自動車保険や火災保険に特約として付いているかもしれません。自転車保険に関心があるなら、まずは加入している保険をチェックしてはいかがでしょうか。

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