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原油市場に異変? OPEC減産後の原油価格のゆくえ

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(写真=PIXTA)
OPECは金融危機後の2008年以来、約8年ぶりに原油の生産量を減らすことで合意しました。
これを受けて2016年10月10日には原油の先物相場が急反発し、長引く原油安の転換点になるかどうか注目を集めています。

生産量は↑価格は↓。薄利多売状態に。

あと30年で枯渇する…といわれていたのはもう過去のこと。今、世界の原油は供給過剰になっているといいます。

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OECD原油在庫は過去最高水準に
※OECD:欧米諸国・アメリカ・日本等を含む35ヶ国が加盟する経済協力開発機構

供給過剰の主な背景としては、消費大国であったアメリカがシェールオイルを安定的に生産できるようになり、他国からの輸入量が減ったことや、中国の成長が鈍化してきたことなどがあげられます。

需要を供給が上回った状態なので中東を中心とした産油国の国際機構であるOPECでは2016年9月28日、およそ8年ぶりに原油を減産する方向で合意しました。生産量を調整して、価格を上げようというねらいです。

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生産量が増えれば、価格が下がる可能性が高くなります。

どの国が生産を減らすのか、OPEC各国は苦しい状況

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OPECの加盟国は、これまでも原油価格を調整するために各国で生産量を調整してきました。今回、減産を検討するにあたってはどの国がどのくらい生産量を減らすのかが大きな争点となりましたが、2016年1月に米欧による経済制裁が解除されたイランは増産の姿勢を崩していません。

そこで、減産の大部分をOPEC最大の産油国であるサウジアラビアが担う必要がでてきましたが、減らさなければならないサウジアラビアと、増やしたいイランはこれまで産油政策をめぐって対立してきたため、両国がどう折り合いをつけていくのか今後市場の関心を集めることになりそうです。

サウジアラビアは、減産決定を見送った2014年11月のOPEC定時総会以降の原油安などが影響し財政赤字が拡大。外貨準備高はわずか1年8ヵ月の間に1,730億米ドル(約18兆円)も減少しました。
財政悪化を食い止めるために、苦渋の決断ですが産出量を減らしてでも価格上昇を望んだ形です。

減産で合意するも、実質的には減っていない!?

OPECが加盟国の合計生産量を日量3,250万~3,300万バレルに制限することで合意したことを市場が好感し、2016年10月10日に、原油相場(WTI原油先物価格)は一時51.60米ドルと約1年3ヵ月ぶりの高値をつけました。

しかしながら、2016年8月時点での生産量が日量3,324万バレルであったことを考えると、実際のところ減産幅はわずか日量24万~74万バレルであることがわかります。

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減産幅はごくわずか。そもそもの生産量の水準が高い状態。

「非OPEC」の生産量は減るとはかぎらない

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原油を生産しているのはOPECだけではありません。アメリカ・ロシア・カナダ・中国等の国も、多くの原油を生産しています。たとえOPEC加盟国が減産に合意したとしても、非OPECの国々がその分生産量を増やしてシェアを奪う形になってしまうと、OPECにとっては原油価格が戻らないうえ、シェアも奪われてしまう結果になりかねないのです。特に、長引く原油安の影響でコスト競争力をつけた米国のシェール関連企業は、リグ(石油掘削装置)の稼働率を回復させており、原油価格の上昇に乗じて増産に走れば、価格下押し圧力となる可能性があります。

世界的な供給過剰と原油安はまだまだ続く見込み

OPECだけで需給バランスを調整することは難しいのが現状です。減産が正式に決定されるのは早くても2016年11月30日のOPEC総会とみられていますが、非OPECの生産動向によっては、供給過剰の解消が一段と難しくなる可能性もあるため、今後もしばらくは世界的な原油の供給過剰が続き、原油安は長期化することになりそうです。

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