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FOMC誰がハト派?タカ派? 勢力図の変化が従来以上に金融政策へ影響する可能性

FRB
(写真=PIXTA)

FOMCのメンバーは12名

米国の中央銀行に相当する連邦準備理事会(FRB)は、金融政策を話し合う公開市場委員会(FOMC)を2016年12月13日~14日に開催し、政策金利を「年0.25%~0.50%」から0.25%引き上げて「年0.50%~0.75%」にすることを全員一致で決定しました。

FOMCでは、原則としてFRB議長と副議長各1名ずつを含む7名の理事と、5名の地区連銀総裁の合計12名が、利上げする、あるいは利下げする、もしくは政策を変更しない、といった決定を行う投票権を持っています。

このうち、7名の理事とニューヨーク連銀総裁は常に投票権を持ったメンバーとして固定されています。残り4名のメンバーについては、ニューヨーク連銀を除く11の地区連銀が4つのグループに分けられ、1年ごとに各グループからFOMCの投票権を持った地区連銀総裁が1名ずつ選ばれます。

ここでいう4つのグループとは、①ボストン、フィラデルフィア、リッチモンド、②クリーブランド、シカゴ、③アトランタ、セントルイス、ダラス、④ミネアポリス、カンザスシティ、サンフランシスコをいいます(FOMCには12の地区連銀総裁の全員が参加します)。

2016年12月のFOMCでは10名全員が利上げに賛成

2016年12月のFOMCでは、投票権を持つメンバーは全員利上げに賛成しましたが、メンバーの数は10名でした。これは7名の理事のうち、2名が現在、空席となっているためです。

10名のメンバーはイエレンFRB議長、フィッシャーFRB副議長、ブレイナードFRB理事、パウエルFRB理事、タルーロFRB理事、ニューヨーク連銀のダドリー総裁、ボストン連銀のローゼングレン総裁、クリーブランド連銀のメスター総裁、セントルイス連銀のブラード総裁、カンザスシティ連銀のジョージ総裁です。

2017年、FOMCのメンバーは?

2017年に入ると、上記①のグループのボストン連銀のローゼングレン総裁は、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁に交代します。同様に②のグループのクリーブランド連銀のメスター総裁はシカゴ連銀のエバンス総裁に、③のグループのセントルイス連銀のブラード総裁はダラス連銀のカプラン総裁に、④のグループのカンザスシティ連銀総裁のジョージ総裁はミネアポリス連銀のカシュカリ総裁にそれぞれ交代します。

「タカ派」・「ハト派」って?

2016年に投票権を持っていたカンザスシティ連銀のジョージ総裁とクリーブランド連銀のメスター総裁は物価を重視し、経済状況に対しては強気なスタンスを取り、利上げ(金融引き締め)に前向きとされる、いわゆる「タカ派」と目されています。

一方、セントルイス連銀のブラード総裁は景気に配慮して利上げに慎重な、いわゆる「ハト派」とみられています。ボストン連銀のローゼングレン総裁はタカ派・ハト派のいずれでもない「中立的」なスタンスを取っているとされています。

2017年のFOMCメンバーは「ハト派」寄り?

2017年はこの4名が投票メンバーから抜けますが、新たに加わる4名の地区連銀総裁のうち、シカゴ連銀のエバンス総裁は筋金入りのハト派として知られています。残り3名については、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁がハト派、ダラス連銀のカプラン総裁が中立、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁がタカ派と目されています。中立的な総裁は2016年も2017年も1名ずつで変わりませんが、タカ派は2名減って1名加わるので1名純減、ハト派は1名減って2名加わるので1名純増となります。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁を加えた残り6名の投票メンバーの政策スタンスは、フィッシャー副議長とパウエル理事が中立でイエレン議長を含む4名がハト派とみられています。

全体的な地区連銀総裁の金融政策スタンスが2016年に比べ2017年はややハト派方向にシフトすることで、FOMCで交わされる議論は利上げに積極的なタカ派色が薄れるとみられており、講演等においては投票権を有している地区連銀総裁の発言内容が注目されることになります。

OC

トランプ氏就任後は「タカ派」的に転じる?

しかし、次期米大統領としてトランプ氏が当選したことで、FRBメンバーの変更が大きな意味を持ちつつあります。トランプ次期米政権で財務長官に指名されたムニューチン氏は、現在空席となっているFRB理事2名を指名する意向を示しています。

トランプ次期米大統領は、共和党がより積極的な利上げが望ましいと考えている点をふまえて、新しい理事にタカ派の候補者を選ぶ可能性があります。また、イエレンFRB議長の任期は2018年の2月3日となっていますが、トランプ氏は大統領選挙期間中にイエレン議長の政策運営が民主党を支援していると批判し同議長の更迭を示唆していたこともあり、イエレン議長が再任されるのは困難とみられています。

仮にイエレン議長が再任の意思を示すようなことがなければ、2017年の春から夏にかけて後任候補選びが活発化し、秋には次期FRB議長が指名される可能性があります。また、フィッシャー副議長の任期もイエレン議長の約4ヵ月後の2018年6月12日となっています。金融市場では、誰が次期FRB議長になったとしても、イエレン議長に比べればタカ派的となる公算が大きいとみられています。

FOMCメンバーの陣容が金融政策にも大きく影響

2017年のFRBメンバーが当初は2016年に比べハト派的となっても、新たなFRB理事や議長(あるいは副議長も)が着任すれば、18年には再びタカ派色が強まり、2016年12月のFOMC後のように、FRBによる利上げペースが加速するとの見方が再び勢いを取り戻すかもしれません。

2017年は、FRBメンバーの陣容の変化とともに、2018年以降の金融政策の舵とりに大きな変化をもたらす可能性が注目されます。

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