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【第3回】2017年、知っておきたい経済の話 トランプ相場の行方、期待から現実へ①

US flag
(写真=PIXTA)

トランプ氏への期待が先行した金融市場

2016年の金融市場を大きく動かした出来事として、米大統領選挙におけるドナルド・トランプ氏の勝利は外せません。関税の引き上げや自由貿易協定見直しといった保護主義的な姿勢や移民に対する過激な発言等が懸念され、選挙前の金融市場ではトランプ氏が勝利すれば、「株安・円高」になるとの見方が一般的でした。

しかし、実際には「株高・金利上昇・ドル高円安」という反応となりました。トランプ氏が掲げる減税やインフラ投資、規制緩和といった経済成長やビジネスを重視する政策が好感されたためです。

アメリカの財政赤字は10年間で約5.3兆ドルにのぼる可能性

懸念された部分には目をつぶり、良い面に光が当たったといえるでしょう。米国の非営利団体である「責任ある連邦財政委員会」の試算によると、トランプ次期大統領の政策によって米国の財政赤字は、現行法にもとづくベースラインの見通しと比べて、10年間で約5.3兆ドル(1ドル=110円とすると、583兆円)拡大すると予想されています。

こうした大規模な財政出動によって、経済成長率やインフレ率が加速するとの見通しが、足元の金融市場の原動力になっているというわけです。

トランプ氏の政策が実現するとは限らない

もっとも、現時点でトランプ次期大統領の政策の詳細が明らかになっているわけではなく、市場の動きに期待先行の面があることは否めません。また、政策の実現には議会との協調が必要です。日本では内閣が予算案を作成し国会に提出しますが、米国では予算の議決のみならず、提案も議会の権限であり、大統領の考えに必ずしも縛られる必要はないためです。

大統領選挙と同時に実施された議会選挙では上下両院とも共和党が勝利したため、本来は次期大統領が掲げる政策を実現しやすい体制といえますが、共和党の主流派議員は財政赤字の拡大には慎重です。このため、実際の財政出動は前述のような大規模なものとはならず、議会との折衝を経て、より適切な規模に調整されていくと予想されます。

今後1~2年は米国経済が押し上げられる?

政策の詳細が明らかになっていくにつれて、金融市場では期待にもとづく相場展開から、政策の効果を見極める展開に移っていくとみられます。この点に関して、経済的な影響を考えますと、規模は縮小するとしても減税を含む財政政策が今後1~2年程度の米国経済を押し上げる可能性は高いと考えられます。

もともと米国経済は緩やかな成長を続けており、企業収益が増加に転じたほか、良好な雇用・所得環境のもとで個人消費が堅調に推移する等、今後も堅調な推移が見込まれます。

こうした米国のファンダメンタルズに次期大統領の政策効果が加わる形で、2017年後半以降、米国経済の成長ペースが加速していくことが確認されてくれば、金融市場では改めて政策の効果が評価されていく展開となるでしょう。

トランプ相場で注意しなければならないことは?

このように、トランプ次期大統領の政策によって米国経済の成長率は高まる可能性が高いと考えられますが、こうした見方に死角はないのでしょうか。次回は政策の留意点について考えてみたいと思います。【第4回に続く】

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