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【FX基礎知識】 米国の雇用統計を見逃すな!

(写真=Creativa Images/Shutterstock.com)

「雇用統計」と「金利」の関係性とは

為替市場は米国の雇用統計を非常に重要視します。雇用は米国の景気動向をみるうえで重要だから、というだけの理由ではありません。アメリカの中央銀行である連邦準備理事会(FRB)が、 政策金利を引き上げる「利上げ」や引き下げる「利下げ」といった金融政策を決定する際に雇用の状況が大きな影響を及ぼすからです。

FRBが行う金融政策には、法律(連邦準備法:Federal Reserve Act)で決められた目的があります。その目的は「雇用の最大化」と「物価の安定」の2つで、いわゆる「デュアル・マンデート(2つの使命)」と呼ばれています。つまり、雇用の動向はFRBが利上げや利下げといった金融政策を決定する際に直接影響する重要な要素なのです。為替市場では利上げを実施すれば通貨高、利下げならば通貨安になる傾向がありますから、市場の注目が集まるのも当然ですね。

ちなみに中央銀行の金融政策の目的に「雇用」が含まれるのは非常に珍しいことです。日本をはじめ、たいていの国で雇用対策は政府が行う仕事で中央銀行の仕事ではありません。日銀の金融政策の目的は「物価の安定」に置かれています。また、欧州中央銀行(ECB)のホームページにも「ECBの金融政策の第一の目的は物価の安定を維持することである」と書かれています。多く場合、中央銀行の行う金融政策の目的は、物価の安定に設定されているようです。

3月の雇用統計は第一金曜日ではない!?

米国の雇用統計は、たいてい月初めの金曜日に発表されるため「毎月第一金曜日が雇用統計の発表日」と思っている人も多いかもしれません。しかし、2017年3月の雇用統計の発表日は「第一金曜日」ではないのです。

実は、3月3日ではなく3月10日の第二金曜日に発表されます。米国の雇用統計は、労働省労働統計局が毎月12日を含む1週間に調査を行い、その3週間後の金曜日に発表することになっています。正確には「12日を含む週の3週間後の金曜日」が雇用統計の発表日です。したがってこの日は第一金曜日になるのですが、日の並びによっては、2017年3月のように第一金曜日にならないことがあるのです。(発表時間は夏時間で日本時間午後9時半、冬時間で午後10時半)

その他の指標も注目しよう

為替相場をみるうえで米雇用統計は大きな材料になりますから、発表される数字が良好な数字となるのか、それとも悪化するのかを予想することはとても重要です。プロのエコノミストはさまざまな統計の動向や季節的要因、イベントなどを勘案してより正確な数字を予想していますが、もっと簡単にその動向を把握する方法もあります。それは、いくつかの雇用に関連する指標をみておくことです。

まず、毎週木曜日に発表される新規失業保険申請件数(イニシャルクレイム)があります。失業保険の申請件数ですから少ない方が良い数字となります。毎週出ますので4週間程度の平均線でトレンドをつかむことや、雇用統計の調査が行われる毎月の12日を含む週の数字がどうだったか、などを見ておくとよいでしょう。また、米国供給管理協会(ISM)が発表する、ISM製造業景況指数(毎月第1営業日)やISM非製造業景況指数(毎月第3営業日)の内訳に雇用指数が含まれており、雇用の傾向が示されます。

もう一つ、ADP雇用統計という指標があります。これは人事関連業務の代行を専門で行うADP社が数十万社もの顧客企業における数千万人分もの給与データを基に算出しているもので、雇用統計の2日前の水曜日に発表されます。これらの数字に目を通すことで、米国の雇用市場の状況がどのようなものか、イメージをしておくこともできるのです。

発表時にチェックしておきたいポイントとは

雇用統計といっても「雇用統計」という名の指数があるわけではありません。失業率や労働参加率など、いくつかの雇用関連指数が同時に発表されます。では、どの指数に注目したらよいのでしょうか。伝統的に重視されているのが「非農業部門雇用者数増減」と「失業率」です。

非農業部門雇用者数増減はその名の通り、非農業部門における雇用者数がどの程度増減したかを示すもので最も注目度の高い数字です。

失業率は失業者の割合を示す数字ですので数字が小さいほど良い数字ということになります。通常はこの非農業部門雇用者数増減や失業率が、前月の数字や市場予想よりも良い数字だったかどうかが直後の為替市場を動かす材料となります。

しかし、現状は少し状況が異なります。イエレンFRB議長は1月18日の講演で米国経済は完全雇用に近いと述べました。完全雇用とは、現在の給料水準で働きたいと思う人がすべて雇用されている状況のことです。

もし、本当に完全雇用の状態にならば、働きたい人はすべて雇われているので、雇用者数増減は減速し、失業率の改善も止まってしまうでしょう。それでも人が足りない企業があれば、給料を引き上げることで人を雇おうとするはずです(平均時給の上昇)。すると、給料水準が上がることで、今までは働こうと思っていなかった人が新たに働こうと思うでしょう(労働参加率の上昇)。

このように、現状においては、注目度の高い非農業部門雇用者数増減や失業率のみならず、平均時給や労働参加率などといったこれまでは比較的注目度の低かった指標が重要性を増しています。為替相場をみるうえでは、この雇用統計やそれを受けたFRBの金融政策などをしっかりと分析することが重要です。

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