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金は輝きを取り戻せるのか?

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(写真=PIXTA)

人類が古くから“価値のあるもの”として重宝してきた「金」。

そもそも産出量が少なく、長い年月が経っても変化しないため、豊かさと富の象徴として大切にされてきました。

身近なところではジュエリーや美術品などに使われているイメージのある「金」ですが、投資の対象として金融市場でも活発に取引されています。

世界経済が不安定になると、その普遍的な価値が好まれて金の価格が上昇する傾向がありますが、昨今はその価格が下がっているといいます。いったいなぜ、金の価格が下がっているのでしょうか?

金価格の下落が与える影響

現在の金の国際価格は、市場でどのように評価されているのでしょうか。

指標となるニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場は2016年、1~6月(上期)としては1979年以降で最高水準のパフォーマンスを叩き出しました。しかし、下半期に入った途端に失速。米国の株式相場が過去最高値を更新し続ける一方で、下落傾向が続いています。

12月19日時点の終値は、1トロイオンス(約31.1グラム)当たり1,140.50ドルと7月6日に記録した年初来高値(1,377.5ドル)から約17%も下落しています。

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では、なぜ金の価格が下落しているのでしょうか。

実は米国の経済成長率の改善を背景に、米連邦準備理事会(FRB)による政策金利の引き上げ期待が高まり、2016年6月下旬頃から米国債の長期金利が上昇。これによりドル高が進んでしまったことが主な原因とみられています。

ちなみに、米国の経済成長率は7~9月期に2年ぶりの高さとなり、失業率も11月には9年ぶりの水準まで改善。物価上昇率も1.7%とFRBの目標とする2%に近づきつつあります。

金は代替資産としての側面を持ち合わせていますが、一方で金利を生まないというデメリットがあります。このため米国の長期金利が上昇すると、金利選好資金が債券市場に流入することで金の需要後退につながってしまうのです。

また、ニューヨーク商品取引所の金先物相場はドル建てで取引されるため、ドル高が進むと取引コストが上昇してしまうことから、ファンドの投機資金が入りにくくなると言われています。

ちなみに、2016年1~6月(上期)の金価格の上昇の背景には、金ETF経由で金の投資需要が急増していたこともありました。金ETFとは、金の現物を裏付けとし、日々の値動きが金価格に連動する上場投資信託のことです。

この金ETFの残高の増減は金価格の値動きに連動する傾向が強いのですが、世界最大のドル建て金ETFであるSPDR(スパイダー)ゴールドシェアの現物保有高は2016年7月に直近のピークを打ち、それ以降は減少傾向が続いています。これにもやはり、米国の長期金利の上昇が影響していると考えられます。

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どうなる?2017年の金価格

では、金価格の下落は2017年も続く可能性があるのでしょうか?

12月14日に米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で2016年初となる政策金利の引き上げを実施しました。さらに、その後の記者会見で来年の利上げペースが速まる可能性について言及しています。

FOMCメンバーも2017年の利上げ回数を現時点で3回と想定しています。つまり、米国の経済政策は今後、「金融緩和」から「財政緩和」へと大きく軸足を移すことになります。これにより、米国の長期金利の上昇、ドル高が一段と進みやすくなり、一方で金相場から投機資金が流出する可能性が高いと考えられます。

2017年4月にはフランスの大統領選、9月にはドイツ議会選挙など、欧州で重要な選挙を控えていることから、結果次第では英国のEU離脱のような混乱を生み、一時的に「有事の金」として買われる動きとなることも考えられますが、やはり米国の利上げ期待を背景とした長期金利の上昇が金価格を押し下げるという流れがメインシナリオになるのではないかとみています。

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