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原油高でロシア経済は復活する? 欧米との関係改善は進むか

(写真=ZoranOrcik/Shutterstock.com)

ロシアの2016年の経済成長率(実質GDP成長率)は前年比▲0.2%と2015年の同▲2.8%からマイナス幅が大きく縮小しました。2017年は同+1%台と3年ぶりにプラス成長に回復していくとみられます。

背景には、1. 原油価格が底堅く推移していることで輸出や資源関連投資の改善が続く、2. 物価の安定が家計の実質所得を下支えし個人消費が回復に転じる、などがあげられます。

ロシア経済の変化

1998年のロシア通貨危機や2008年のリーマンショック時といった過去の景気後退局面と比較して今回の景気悪化の度合いが和らいでいるのは、変動為替相場制の採用による外的ショックの吸収や、金融システムの健全性向上に向けた取り組み、外貨準備の増加などにより対外純債権国に転じたことがあげられます。 

実際、外貨準備は1998年末に78億米ドルでしたが2016年末は3,080億米ドルとなっています。また、公的債務残高のGDP比は1999年の92.1%から2016年末には17.1%に大きく改善した見込みです。

ロシア経済のカギを握る原油価格は底堅く推移

ロシア経済やロシアルーブルをみるうえで注目される原油価格は、底堅く推移しています。これは、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非OPEC主要産油国が2016年12月に協調減産合意に至ったことで原油需給の改善期待が下支えしていることが大きいでしょう。2017年1月のOPEC生産量は減産合意目標の9割を達成しました。また、ロシアについても4月末までに日量30万バレル削減するとしていましたが、1月は11万7,000バレルの削減を発表しており、順調に削減が進んでいます。

新興国の需要増でエネルギーの需給バランスは改善見込み

中期的には原油をはじめとした資源関連の採掘投資の減少と新興国におけるエネルギー需要の増加により、世界的な原油・ガスなどの供給過剰は徐々に解消に向かうとみられます。

具体的には、新興国における中間所得層の増加による自動車販売の増加や低位にとどまる自動車普及率の向上、クリーンエネルギーとしての天然ガス需要の増加、などがけん引するとみられます。

一方、主要産油国となった米国では原油価格が1バレル=60米ドル近くなると国内のシェールオイル生産が増加するとみられていますが、当面、原油価格の天井を決める要因とはいえ、原油価格を大きく下押しする要因とはならないとみています。

トランプ大統領効果でルーブル高

ルーブルは原油価格の上昇やトランプ米大統領のロシアに対する宥和(ゆうわ)的な発言を受けて対ロ経済制裁が一部解除されるのではないかとの期待が生じたことから、2017年2月中旬には1ドル=57ルーブル台と、2015年7月以来のルーブル高となりました。

こうしたなかロシア財務省は2月に1,131億ルーブル(19億米ドル)程度のルーブル売り・米ドルなどの外貨買い介入を行うと発表しました。ルーブルの変動抑制に加え外貨準備を積み増すといった意図も含まれている可能性があります。実際、同国の外貨準備は2014年6月から2016年末にかけて為替介入などにより約1,100億米ドル減少していました。

今後のルーブルはどうなる?

今後のルーブルは底堅く推移するとみています。背景には、1. 産油国の減産進展が原油価格を下支えする、2. 2017年は景気が底打ちに向かう、3. ルーブル売り介入は過去に比べて少額であり、ルーブルの方向感を決めるほどのインパクトはない、4. 中期的には足元の実質実効為替レートは長期平均をやや下回っており、通貨高の余地がある、などがあげられます。

米国の対ロ経済制裁の解除についてはウクライナ東部での戦闘激化を受け、米政権与党の米共和党幹部や国連大使らのロシアに対する批判が続いています。また、トランプ大統領の側近で安全保障担当の補佐官が政権発足前にロシア当局とコンタクトをとっていたとして辞任に追い込まれました。国務長官や国防長官はロシアに対して批判的な発言が続いており、プーチン政権が期待したような対米関係の早期正常化は難しいようです。そのため、ロシア経済やルーブルは当面、原油価格の動向にらみの展開となりそうで、5月のOPEC総会で協調減産が2017年下期も延長されるかなどが注目されます。

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