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キャッシュレス社会へ 電子決済の普及で変わりゆくお金のかたち

(写真=ESB Professional/Shutterstock.com)

スマホをはじめとしたモバイル端末が世界的に普及し、“お金のデジタル化”が進むなか、電子決済の利用方法が多様化しています。

先進国をはじめとした世界全体の流れをみても現金取引比率は減少傾向にあり、かつて株券が電子化して取扱われなくなったように、近い将来「現金を持ち歩く」という概念は消えていくのかもしれません。

“お金のデジタル化”が加速

現金のかわりにクレジットカードやプリペイドカードなど各種カードを利用した決済方法も、これまでは実店舗でのカード提示やスワイプが主流でしたが、近年はカードやスマホなどをかざして決済する「近接決済」や、モバイル端末にリーダーを外付けした「モバイルPOS決済」、オンラインショッピングなどの「遠隔決済」の利用が広がっています。

このようなモバイル決済では、お札や硬貨などを一切触ることなく支払いまで完了してしまいます。銀行からお金をおろして、お財布に入れて…という手間も必要なく、モバイル端末を持ち歩くだけで支払いができるのでスマートです。

お店で“ピッ” 小銭いらずで広がる「近接決済」

いろいろなモバイル決済方法の中でもとくにデバイスやカードをかざして支払う「近接決済」はリーダーにかざすだけで済むため、デバイスやカード情報を他人に見られることがなく、紛失や偽造などのリスクを少なくできます(クレジットカードをお店で提示する場合は、番号を盗用されたりスキミングされたりする可能性が全くないとはいいきれません。)。

今ではおなじみとなった鉄道などの交通機関で切符のかわりにカードをかざす「近接決済」は、運賃だけでなくコンビニなどでの少額決済にも簡単かつ安全に利用できるようになりました。また、利用者にとっても企業にとっても普及する利点が多くあるため、今後も利用が拡大していく見込みです。米調査会社eMarketerによると、米国のモバイル近接決済額は2020年には3,100億米ドル超と、2015年比で32倍に拡大すると予想されています。

多くの国ではまだ現金・小切手が主流

金銭取引は、とくに個人間や新興国市場では依然大半が現金・小切手決済で行われていますが、世界的には現金取引が減少傾向にあり、先進国ではより現金取引が少なくなっていることから、今後もこの傾向が世界的に続いていくと考えられます。

仕送りや割り勘、家賃や子供の家庭教師への個人的な支払いなど、これまで手渡し、銀行や郵便局での振り込みが多かった支払いについても、近年はPCやスマートフォンなどを通じて簡単に送金できるシステムが普及したことで電子決済ができるようになりました。

このような送金システムを使えば、わざわざ銀行や店舗に出向く必要はなくなり、従来の銀行などと比べて安い手数料で、いつでも送金手続きをすることができます。また、盗難や紛失の心配がないカード間の送金・受領での利用も増えています。

また保険会社からの保険金、政府からの税還付金、企業からのフリーランスへの報酬など、法人や政府機関から個人への支払いもカードで行われることが増えています。近年話題の仮想通貨「ビットコイン」にも対応するなど、カードの用途はますます広がっていて、電子決済関連の分野は今後さらなる成長産業として期待できそうです。

日本はキャッシュレス社会を推進


政府は2014年6月に「日本再興戦略」改訂において、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会にむけてキャッシュレス決済の普及による決済・効率性向上を図ると公表していて、地方商店街や観光地でのカード決済端末導入促進や年金保険料や国税の電子納付、訪日外国人が海外発行のカードを使えるATMの整備などを進める予定です。

古くはお米や絹・布、小判のような金貨、藩札、など「お金」は時代を経てその形をさまざまに変えてきました。これからは、どこまでデジタルマネーがお札や硬貨にとって代わっていくのでしょうか。

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