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【フィンテック 】世界を変える「ブロックチェーン」

(写真=Zapp2Photo/Shutterstock.com)

近年、仮想通貨の「ビットコイン」の名前とともに「ブロックチェーン」という言葉もよく耳にするようになりました。「ビットコイン」の基幹技術であるブロックチェーンが持つ特徴や、その応用分野について解説します。

フィンテックの代表的な技術「ブロックチェーン」とは

ブロックチェーンは取引履歴を1つの台帳で集中管理するのではなく、多くの端末に台帳を分散して管理する技術のことで、P2P技術が使われており、分散型台帳技術とも呼ばれています。取引の履歴は「ブロック」と呼ばれるデータのかたまりに記録され、新しい情報を追加する場合は、ネットワーク上の複数の参加者(ノード)が新しい「ブロック」を相互承認して(Proof of Work)、鎖状に次々と追加することから、この名前が付けられました。

ブロックチェーンの大きな特徴は「耐改ざん性(改ざんのされにくさ)」です。一元的に管理する機関による監視が行われなくても、同じ帳簿を共有する参加者が相互監視することで取引履歴の正当性が担保されるようになっています。情報が1カ所の台帳で管理されている場合、そこがハッカーなどに攻撃され、内容が改ざんされると致命傷になりかねません。ところが、ブロックチェーンの場合は複数のノードに台帳が分散されているため、たとえ1つの台帳の情報が改ざんされても、他の台帳と照合することで、どれが正しい情報なのかがわかるようになっています。

「ビットコイン」を支えるブロックチェーン

2009年に運用が開始され、2017年5月11日時点で297億ドル(約2.5兆円)もの市場規模を持つ仮想通貨「ビットコイン」は、ブロックチェーンによって支えられています。

日本円など法定通貨は国の中央銀行(日本で言えば日本銀行)が発行します。また、地理的に離れた個人や企業が支払いなどを行う際には、金融機関を通して取引されることが一般的です。資金の移動には手数料などの費用がかかるうえ、世界の経済状況が変われば相対的に通貨価値が下落することもあります。

ビットコインの場合、政府や中央銀行のように一元的に管理する機関による管理は必要なく、参加者同士の相互信用によって直接取引ができます。例えば、AさんがBさんにビットコインを渡す場合、その取引情報はブロックに記載され、参加者全員が台帳で共有、相互監視することで取引の安全性や透明性を確保しているのです。

仮想通貨だけじゃない!ブロックチェーンが持つ無限の可能性

ブロックチェーンの応用範囲は、仮想通貨だけにとどまりません。「スマート・コントラクト」(契約の自動化)という、ブロックチェーンに契約条件を記載、条件が実行されると契約が履行される技術が注目されています。

例えば、マンションの一室を借りる場合、通常はそのマンションの所有者や不動産会社などと契約を交わします。もしこの契約をブロックチェーンに記載した場合、その契約はネットワーク参加者全員で管理されるため、不動産会社などの中間業者を通す必要がなくなります。そして、契約期間が過ぎた場合は、自動的にそのマンションの賃借権がなくなることになります。賃貸契約以外にも、音楽の著作権の管理や株取引など、いろいろな分野に応用できる可能性があるといわれています。

ブロックチェーンは銀行への応用も検討されています。アメリカを拠点とするスタートアップ企業「R3 CEV」は、ブロックチェーンを使った金融システム構築のために、R3コンソーシアムを立ち上げました。同コンソーシアムには日本のみずほフィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャル・グループを含む、世界中の60社以上の大手金融機関が参加しています。2016年3月、R3コンソーシアムはブロックチェーン上で約束手形を発行、取引、償還などを支援するプログラムを実行させる実験を行い、成功させたと発表しています。

私たちの生活を一変させる可能性を秘めた「ブロックチェーン」は、これからも注目を集めていくでしょう。

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