再配達を減らす切り札として注目が高まる
不在でも荷物を受け取れる宅配ボックスといえば、マンションでは標準装備となっているところも多いのですが、最近では戸建て住宅にも設置の動きが広がっています。背景には、ネット通販の浸透による荷物の急増とドライバーの負担増が社会問題となるなか、全体の約2割にのぼる再配達を減らす切り札として注目されていることがあります。戸建て住宅は家族暮らしが多いこともあり、これまで宅配ボックスの設置が進まず、普及率は1%未満とも言われていました。再配達を抑制し、消費者と宅配業者の両方の利便性を高める戸建て住宅用宅配ボックスの需要の伸びしろは大きそうです。
メーカーの製品投入も増える、1万円以下の廉価品も
市場拡大への期待からメーカーの製品投入も増えており、ウェブサイト等で探してみると、機能やデザイン性に優れた戸建て用宅配ボックスが数多く売られていることがわかります。例えば、ある大手住設メーカーの製品は門まわりに据え置くものだけでなく、門塀や玄関の壁に埋め込めるものもあります。宅配員はボックスに荷物を入れ、伝票を専用口に差し込んで受領印をもらうことで配達が完了。いたずら防止のため、1納品につき1回しか押印できないようにもなっています。こうした据え付け工事がいる住設大手メーカーの製品なら、セキュリティ面の不安も少ないでしょう。
一方、設置にあまりお金をかけたくないという人向きには、床に置いてワイヤ等でつないでおくタイプの製品なら1万円以下で売られていますし、なかには宅配ボックスを自分で製作してしまう人もいるようです。
今後も戸建て用宅配ボックスは便利に進化
課題を挙げるとすれば、多くの戸建て用宅配ボックスは荷物を1個入れたら防犯のため施錠される仕組みなので、次の荷物が入れられないことがあります。ネット通販を頻繁に利用する家庭では、宅配ボックス1つでは間に合わない可能性があります。ただ、足元では複数個の荷物を受け取れる製品の本格販売に乗り出すメーカーもみられます。消費者の要望に合わせ、今後も戸建て用宅配ボックスは便利に進化していくでしょう。いずれはクール便に対応した冷凍・冷蔵機能付きや、ゴルフバッグ・スキー用品が入る製品等が発売されるかもしれません。
【おすすめ記事】
・物流の効率化が加速、宅配ロッカーの普及に向けた取り組みなどに注目
・人手不足対策として導入が進むセルフレジ
・インターネット時代の「ニューエコノミー(新経済)」?
・オムニチャネルってなんだろう??
・2020年に向けて市場規模が急拡大 「VR」「AR」で世界はどう変わる?