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日本のシェアリングエコノミーは拡大するか

(写真=Aleutie/Shutterstock.com)

民泊、ライドシェアなどのシェアリングエコノミーのビジネスはすでに世界規模で拡大

インターネットを介して、モノやサービス、スペース等を個人間で貸し借りしたり、企業等から借りたりする「シェアリングエコノミー」と呼ばれる新たな経済の動きが、日本でも浸透することが期待されています。

シェアリングエコノミーの代表的なものといえば、自宅の空き部屋等に旅行者を有料で泊める「民泊」や、移動したい人を自家用車で目的地まで運ぶ「ライドシェア」などが思い浮かびますね。そのほかにも、例えば、個人の持つ専門的なスキルを空き時間に提供するサービスや、空き駐車スペースを貸し借りするサービスをはじめ、さまざまなものが登場してきています。

シェアリングエコノミーの市場はグローバル規模で拡大していますが、その先駆けといわれているものが2008年に米国で開始された米国のエアビーアンドビー社による民泊仲介サービスでしょう。現在、同社は世界191ヵ国・地域でサービスを提供し、登録物件数はなんと300万件を超えています。また、同じ米国のウーバーテクノロジーズなどが手掛けるライドシェア仲介サービスも世界で利用者を増やしています。

日本でもシェリングエコノミー普及に向けての制度づくりが進む

一方、日本では、シェアリングエコノミーに関連する市場の潜在規模は大きいと想定されるものの、規制緩和が進んでおらず、欧米と比べてビジネスの環境整備が遅れているといわれてきました。

日本のシェアリングエコノミーの市場規模(2014年度~2020年度)

(注)2016年度は見込み額、2017年度以降は予測額
出所:経済産業省資料より作成

しかし、ここにきてようやく日本でもシェアリングエコノミー拡大に向けた制度整備に本格的に取り組む姿勢がみられるようになってきました。

国内の民泊サービスに関しては、訪日外国人客が増加を続け、一部の地域で宿泊施設不足が問題になっているほか、2020年には東京五輪も控えているなど今後の需要拡大が見込まれます。加えて、これまできちんとしたルールがなかったため、衛生面の問題や地域住民等とのトラブルなどがニュースに取り上げられたりしており、違法民泊への対応が急がれていました。これらを背景に2017年6月、「住宅宿泊事業法」(民泊新法)が成立しました。

同法は、住宅での宿泊事業を規定する法律で、これまで一部の国家戦略特区等で認めてきた民泊を一定の要件の下(年間180日以下の宿泊等)、全国で解禁するものです。同法成立を受け、関係各所の動きは活発化しているようです。

次に注目されるシェアリングエコノミー型ビジネスは・・・?

民泊以外では、特に国内の駐車場シェアサービスも注目でしょう。

このサービスは、契約が埋まっていない月極駐車場や使っていない自宅の駐車スペースを持っている人と、外出先で駐車場を利用したい人をインターネットで仲介するものです。都心部等での駐車場不足のほか、利用料金の安さ、事前に予約できる便利さなどから成長が期待されています。

今後は、通常の自家用車をタクシーとして使う「白タク」にあたるとして、現在は原則認められていないライドシェアの全国解禁が期待されるところです。

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