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需給改善の遅れとドルの先高観測が売り圧力に

WTI
(写真=PIXTA)

・ 国際エネルギー機関(IEA)は今年後半には世界の原油在庫が劇的に削減されると予想
・ 6/2の石油輸出機構のOPEC定時総会で増産凍結が合意できず、増産凍結を見送り
・ アメリカの早期利上げ見通しに基づくドル高も売り圧力となる可能性

国際エネルギー機関(IEA)は今年後半には世界の原油在庫が劇的に削減されると予想

 国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物相場は、5/17に1バレル=48ドル台を回復しました。期近ものとしては2015年10月以来、約7ヵ月ぶりの水準です。

 アフリカ最大の産油国であるナイジェリアで武装勢力によるパイプラインへの攻撃が激化していることから、供給懸念が生じていることが相場の押し上げる要因となりました。ブルームバーグによると、4月のナイジェリアの原油生産量は日量169万バレル(石油輸出国機構:OPEC合計生産量の約5%)であったのが、今後さらに減少する可能性があるとみられています。

 また、カナダのアルバータ州で発生した大規模な山火事も懸念要因となっています。この地域の近くには、オイルサンドと呼ばれる砂から原油を精製する施設が集中する場所があります。すでに山火事は沈静化の兆しがみられているものの、従業員が避難しているため、一部で操業停止や縮小が余儀なくされています。米エネルギー省(EIA)の予想によると、カナダの合計生産量は2015年時点で日量約450万バレルとされていますが、一部報道では、100万バレルが滞っているおそれがあるそうです。
 
 国際エネルギー機関(IEA)が5/12に発表した月報によると、「今年の後半には世界の原油在庫が劇的に削減される」との見通しが示されており、世界の供給過剰幅は今年の前半に日量130万バレル、今年の後半には同20万バレルに縮小するとみられています。

図1

OPECの原油生産量は過去最高。6/2の総会で増産凍結が合意できず、増産凍結を見送り

 6/2の総会で増産凍結が合意できず、増産凍結を見送りなりました。ナイジェリアの生産量が落ち込んでいるとはいえ、OPECの原油生産量は依然として過去最高に近い水準であり、世界需給の改善は期待しにくい状況にあります。特に、イランは今年1月に欧米による経済制裁が解除されたばかりということもあり、増産意欲が強いのです。同国の4月の生産量は日量350万バレルと欧州により経済制裁が科された2012年7月を上回る水準でした。さらに、最大産油国であるサウジアラビアのエネルギー産業鉱物資源相が交代したばかりということもあり、今後OPEC加盟国の間で増産凍結の合意を形成することは困難とみられています。

図2

米国の原油生産量は高水準を維持。原油在庫も過去最高を更新

米国原油在庫が増加し続けていることも弱材料になります。アメリカの国内の石油掘削装置(リグ)の稼働数は5/13時点で318基とピーク時(2014年10月)の約5分の1となっているものの、掘削技術の向上によりリグ1基当たりの生産量がいまだ右肩上がりに増加しています。依然として、日量880万バレル以上の生産量が維持されているのです。

6月の米追加利上げを機に利益確定売りに押される可能性も

なお、WTI原油先物相場はドルインデックスと相関関係があります。ドル建てで取引される原油はドル高が進むと割高感が生じることから売られやすくなるためだからです。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でアメリカの金利が再び引き上げられた場合、再びドル高・原油安の流れとなる可能性があるということも念頭に置いておく必要があるでしょう。 

図3

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