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「つみたてNISA」で投資の一歩を踏み出してみよう(後編)

(写真=komisar/Shutterstock.com)

2018年1月からスタートする「つみたてNISA」は、投資初心者がはじめの一歩を踏み出せない理由のあれこれを解消し、投資デビューをしやすくした制度です。どのようなところが初心者向きなのか、見ていきましょう。

投資初心者の前に立ちはだかる「4つのカベ」とは?

投資に一歩踏み出そうと思ってもそれを阻むカベがあります。

あなたの場合は何でしょう。よくあるのは次の4つカベです。

カベ1 投資はわらないから怖い、損をするかもしれない!
カベ2 まとまったお金が必要でしょ?
カベ3 いつ買ったらいいのかタイミングがわからない……
カベ4 商品が多くて選べない!

カベ1のように思う気持ちは否定できません。投資商品は価格が変動するもの。預貯金と違って元本保証がないので、値下がりしたタイミングで売ると損をします。大きく値下がりしたらどうしようと思うと怖さも感じます。でも投資商品の中には価格の変動リスクを抑えた商品もあります。

カベ2のとおりのイメージを持っている人は少なくありませんが誤解です。まとまったお金が必要な場合もありますが、少額から始められる手段もあります。

カベ3は確かにそう。安いときに買って高く売れば儲かるというのは簡単ですが、いくらなら安くていくらなら高いのかは、そうそうわからないものです。安いと思って買ってもさらに値下がりしたり、高くなったと思って売ってもさらに値上がりしたりすることもしばしば。正直、値動きを追う投資はかなりのストレスになる場合もあります。でも売買のタイミングを選ばない投資手法だってあるのです。

カベ4のように何でも選択肢が多すぎると選べなくなるもの。選択肢が絞り込まれていれば選びやすくなるはずです。

投資信託での積み立てが「投資のカベ」を解消

カベ1から3までは投資信託での積み立て(以下、投信積立)で乗り越えられます。順に説明していきましょう。

● カベ1と3を解消
毎月自動的に積み立てるので、投資タイミングに悩む必要なし

投信積立は一度手続きをすれば、選んだ投資信託を毎月一定金額ずつ自動的に買い付けていくので、「いつ買おうか」と投資のタイミングに頭を悩ませる必要がありません。初心者にはうってつけの方法です。

毎月一定金額ずつ投資信託を買い付けていくことには他にも大きなメリットがあります。価格が変動する商品を定期的に一定金額ずつ購入し、時間(時期)分散を図る手法を「ドル・コスト平均法」といいますが、投信積立はまさにそれ。投資信託の基準価額(投資信託の1万口当たりの値段)が高いときには少ない口数を、安いときには多くの口数を買うことになり、これを長期的に継続すると1万口当たりの平均購入単価が平準化されていく効果があります。安い値段で多く買い付けられるので長期にわたる投信積立の活用は、安定的な資産形成につながると考えられるのです。

図 毎月一定金額ずつ買うと平均購入単価が抑えられる
以下のような値動きの場合に、投資信託を最初に4万円分買ったときと、
4カ月間、毎月1万円ずつ定額で買ったときを比べると…(※1)

※1 上記の例は将来の投資成果を予測・保証するものではありません。相場が継続して上昇し続ける場合等、一括投資の方が有利な場合があります。
※2 投資信託の取引単位は「口数」で示されます。変動する投資信託の価格は「基準価額」と呼ばれ、多くは「1万口当たり」で示されます。
(*金融庁/NISA推進・連絡協議会作成 初心者向けの投資教材「つみたてNISA早わかりガイドブック」

● カベ2を解消
月々1000円から始められるので無理のない投資額を設定できる

投信積立は月1,000円という少額からはじめられます。これなら無理なく続けられる金額を設定できるでしょう。はじめは実際に投資に充てられるお金よりも少額で試して、値動きに慣れてきたら積立額を増やすということもできます。

つみたてNISAなら商品選びがしやすく利益は非課税

カベ1から3までは通常の投信積立で解消できます。ただ初心者にとっては、どの投資信託で積み立てればよいのか商品選びが厄介。だれでも買える公募投信は約5,000本もあるからです(投信積立ができる投資信託の本数は金融機関により異なります)。

(*金融庁 平成29年9月10日「つみたてNISA」の制度説明より)

そこで「つみたてNISA」の出番です。つみたてNISAも投信積立の一種ですが、対象商品が、長期・積立・分散投資に適した一定の要件を満たす投資信託に絞り込まれているため、初心者でも選びやすくなっています。

そして何といっても大きな特徴なのが、投資による利益(運用益や分配金など)が20年間非課税になること。通常、投資の利益には約20%(※3)の税金がかかります。例えば、10万円の利益があった場合、通常は税金が2万円差し引かれて手取りは8万円になります。一方、つみたてNISAであれば10万円がそのまま手取額となり、課税の場合より効率よく資産形成ができると考えられるのです。

※3 正確には復興特別所得税を加えて20.315%(2037年12月31日まで)。

目標金額や使途を定めて運用をスタート

つみたてNISAの運用期間は最長20年間です。ただし、これは預貯金でいうところの満期ではなく、積み立てた分は必要に応じていつでも解約して引き出すことができます。運用開始から20年後にタイミングよく値上がりしているかどうかはわからないので、積立額の元本の1.5倍程度になったら解約しよう等と目標金額を定めて利用するのも一つの手です。

つみたてNISAで運用したお金の使途は自由なので、住まいのリフォームやクルマの買い替え、家族での海外旅行、教育費の+α等さまざまな用途に活用できます。老後資金作りの選択肢にもなります。いろいろなライフプランの実現に役立ちそうです。

 

日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
ライター 萬 真知子

日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

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