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人の「末路」は蜜の味!?『宝くじで1億円当たった人の末路』が受けたワケ(後編)

(写真=iStock/GettyImages)

前編はこちら

話題のベストセラー『宝くじで1億円当たった人の末路』(鈴木信行、日経BP社)。前編では経済誌の編集経験がある科学技術ライター・コンサルタントの須田昭久さんに、この本の魅力を語っていただきました。
後編では須田さんが著者の鈴木信行・日経ビジネス副編集長に、同書のねらいや出版戦略、ベストセラーとなった背景の分析などについて聞いたインタビューをお伝えします(敬称略)。

サイトで連載していた“なんでもアリ”のコラムを
コンセプトの統一感を出して「末路本」にまとめる

――まずは『宝くじで1億円当たった人の末路』が生まれた経緯を教えてください。

鈴木:この本は、日経ビジネスオンラインで不定期に連載したコラム「キーパーソンに聞く」のなかのいくつかをまとめたものです。単行本化にあたって、サイトで掲載した部分はほとんどリライトをしていませんが、新たに「結論」「解説」部分を書き足して、「末路本」としての統一感を出しました。

――最初から「末路本」として出版することを意識した連載だったのですか?

鈴木:いいえ、最初は面白そうな人に話を聞くという“なんでもアリ”のコラムでしたが、続けているうちに、私の関心の中心が「何かをしでかしちゃった人が、その後どうなっているのだろう?」というところにあることに気づきました。悲惨な「末路」だけにこだわったわけではなく、ある選択の後の「顛末」を追ってみたいという気持ちです。そしてそれに添って、連載のコンセプトを軌道修正していったのです。

――悲惨な「末路」を面白おかしく披露するのがねらいではない?

鈴木:ええ、ねらいは「こういう選択をすると、こういう結末に向かう可能性が高いので気を付けてください」、あるいは「安心してください」ということを書きたかったのです。困っている人が、さらに落ち込むような本にはしたくなかった。

「経済合理性」に基づいた論理的な「経済本」だが
「電車の1区間で1話が読める」読みやすい本

――「末路」、すなわち選択の結末として、「ある程度予想できるもの」と「意外なもの」がうまく散りばめられていますが、それぞれどういう観点から「末路」が導かれているのですか?

鈴木:基本的には、各テーマの取材対象である専門家へのインタビューとして書かれているので、内容や解説の仕方にはバリエーションがありますが、誰を取材対象に選ぶのかも含めて「経済合理性」という一つの縦軸があり、それに沿って論理的に話を進めることを重視しました。

――「経済合理性」というとなにか難しそうですが。

鈴木:いえ逆に、多くの人が納得しやすく、わかりやすい観点です。例えば、「持ち家派か賃貸派か?」という選択のどちらが正しいかは、専門家がどういう価値観を持つのかによって180度違ってくるでしょう。情緒的な要素などが絡んでくると複雑なのですが、「経済合理性」、つまりお金というという物差しで計ることによって、明快で論理的な「末路」が導き出されます。その意味でこの本は「経済本」の一種だと思っています。でも堅苦しくなるのは嫌だったので、あまり厳密な設計はしていません。

――実際は文章などが平明で、読みやすい本ですよね。

鈴木:日経ビジネスオンラインのコラムということもあって、読者ターゲットも最初はビジネスパーソンでした。だから通勤電車の1区間で1話が読めてしまう程度の読みやすさを心がけたのです。

「自分の子どもに読ませたい」という読者の感想も
先が見えない社会だから選択の先の「末路」が気になる

――これほど売れると思っていましたか?

鈴木:いいえ、そもそもは連載コラムを何らかの形でまとめたかっただけです。出版後販促用の特設サイトを作ったり、新聞広告や電車の中吊り広告を出したりしているうちにだんだん評判になって、購買者がビジネスパーソンから主婦や若者層に広がっていきました。はがきなどで寄せられた感想には「面白い」「役に立つ」の他に「自分の子どもに読ませたい」というのもありました。

――この本がベストセラーになった背景をどう考えますか?

鈴木:社会が複雑化・多様化して、多くの日本人の心に「先が見えない」という不安感があるのだと思います。昔の日本なら選択肢も限られていて、「結婚する」「家やマンションを買う」「子どもを持つ」という選択が、一応幸せへの“正解”とされていました。しかし今では、大事な岐路での選択肢それぞれの「末路」がよく見えてこない。だからこそ、ある選択をした場合の「末路」が気になるし、そこに至る理由も知りたくなるのでしょう

日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
科学技術ライター・コンサルタント 須田昭久

日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(https://consult.nikkeibp.co.jp/financial-contents-lab/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

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