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脳に関する日頃の疑問にお答えします (後編)

つい電車の中でゲームに熱中してしまったり、些細なことでもイラっとしたりしてしまう。実は、このような日常のクセや感情の起伏も、脳の働きと関係があるのです。脳についての日常の疑問を、脳のMRI画像を使って1万人以上の脳を診断・治療してきた脳内科医の加藤俊徳さんにお聞きしました。

>>脳に関する日頃の疑問にお答えします(前編)はこちら

Q.4 電車の中でずっとゲームをしている人を見ると、よくも飽きずに…と思っていましたが、いつの間にか自分もやめられなくなっていました。これって脳のクセですか?

A.4 ゲームに依存してしまうのは、脳には成功すると同じことをしたくなるクセがあるから。一度使った脳番地をまた使いたくなる傾向にあるのです。

脳は成功すると同じことをしたくなるクセがあります。そして、一度使った脳番地をまた使いたくなる傾向があります。数学の試験でいい点をとったら、もっと数学を勉強したくなるように、スマホで楽をしたり、ゲームで快感を得たりした脳は、さらにスマホやゲームに依存するようになります。

しかし、スマホという外部ディスクを動かしている間、脳はごく一部しか使われていません。例えば、会議でメモを取ろうとして、簡単な漢字がとっさに出てこなかったという経験はありませんか。そのとき、脳は聞いた情報を処理し、適切な文字を選び出し、書くという運動を手に命令しています。しかし、いつもスマホやパソコンを使っていると、最初の数文字で予測候補が表示されます。スマホから漢字を引き出していると、脳はほとんど作業をしていません。脳は使わなければ劣化する性質を持っています。

ネットサーフィンを何時間しても、振り返ったときに充実感を得られる人は少ないでしょう。充実感がなければ脳の記憶にも残りにくい、無為な時間になるのです。テクノロジーは適切に使えば便利なものですが、老いない脳のためにはリアルな体験の方が大切です。

Q.5 電車の扉付近で乗り降りをふさいでいる人、喫茶店で大きな声でしゃべっている人等を見るとついイライラ。最近怒りっぽくなった気がします。

A.5 仕事で同じ脳番地を使い続けていませんか? 同じ脳番地を使ってばかりいると、疲れやすい、イライラする等、体や心に症状としてあらわれます。

同じことを繰り返していると、脳が活性化しにくい状態になっています。そして同じ脳番地を使ってばかりいると、疲れやすいイライラする等、体や心に症状としてあらわれてしまうのです。仕事で同じ脳番地を使い続けている人は、リフレッシュが必要です。

仕事とはまったく関係ない場所へ出かける、数字と向き合う仕事が多い人は1日1つ俳句を作ってみる、営業で人と話すことが多い仕事の人は楽器を演奏する等、何でも構いません。趣味や地域でのコミュニティを持ち、会社とは違う立場で人と交流する機会を作ることも有効です。仕事脳と違う脳を使って、脳番地のシフトチェンジをしましょう。新しい経験を作り出すことで、眠っていた脳番地が刺激を受けたり、無関係だった脳番地同士がリンクしたりします。仕事のうえでも、新しい発想や違った見方も生まれやすくなるはずです。

また、酸素不足になると前頭葉の活動領域が小さくなり、キャパシティが少なくなるためイライラの原因になります。
そんなときは、5秒ほどかけてゆっくりと息を吸い、数を数えながら15秒ほどかけてゆっくりと息を吐く。深くゆっくりと呼吸をすることも有効です。呼吸だけに意識を集中することで、脳番地がシフトし、酸素が十分に体内に取り込まれるので、脳の働きも自然とよくなるはずです。

Q.6 いまさらですが、ピアノを弾けるようになれたらと思っています。しかし、ギターを中学生のころに頓挫したくらいで、楽器をやったことはなく、楽譜も読めないのにと思うと、ふんぎりがつきません。

A.6 新しいことにチャレンジしてほかの脳番地を伸ばすチャンスです。1つのことを新たに始めるだけで、複数の脳番地が働き、脳に刺激を与えることができます。

「やったことがないから、やらない」「うまくできないからしたくない」等否定形から入る人は、新しいことにチャレンジしてほかの脳番地を伸ばす機会を逃しています。マイナス思考は、脳の働きや成長を止めてしまう大きな要素。「できたら面白そう」とポジティブにとらえ、自分を励ますことができる人は、活動性が高くなります。行動範囲が広がれば、得る情報も経験も増える。1つのことを新たに始めるだけで、複数の脳番地が働き、脳に刺激を与えることができます。

人にやらされているという思考を続けていると、脳は衰えてしまいますが、やりたいことがあると、情報を集めようとするのが脳なのです。例えば、テレビから流れてくる音楽番組を何となく聴くのと、聴きたいと思って聴くのとでは、意識に大きな違いがあります。聴こえてくる音やリズム、演奏者の手の動き等受け取る情報量も違ってきます。明確な意思を持つことで、脳への働きかけが違ってくるのです。

「この年になって、いまさらできるはずがない」と思っているとその考えに適応してしまうのも脳の特徴。40代でも「気持ちは20代」と言い続けている人の方が、同じことをしても活性化しやすい。何歳になっても脳は成長することを知っている人は、新たなチャレンジができるから、脳に刺激が入り、実際に脳を伸ばし続けられるのです。

脳の学校 代表取締役
加藤俊徳(かとう・としのり)さん
新潟県生まれ。加藤プラチナクリニック院長。脳内科医・医学博士。昭和大学客員教授。脳番地トレーニングの提唱者。米国ミネソタ大学、慶應義塾大学、東京大学等で、脳研究に従事。胎児から超高齢者まで1万人以上の人をMRI脳画像を用いて診断・治療。加藤プラチナクリニックでは、MRIで脳の成長を診断し、発達障害や認知症等の脳が成長する医療を実践。雑誌。新聞、テレビ、ラジオ等で活躍中。著書は『才能の育て方』(小学館)、『脳を強化したければ、ラジオを聴きなさい』(宝島社)等著書多数。
脳の学校公式サイト http://www.nonogakko.com
加藤プラチナクリニック公式サイト http://www.nobanchi.com

※ 『日経おとなのOFF』2017年5月号を参考に記事を作成しています。

日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
中城邦子

日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(https://consult.nikkeibp.co.jp/financial-contents-lab/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

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