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デジタル活用でミレニアル世代の需要を取り込む外食チェーン

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(写真=PIXTA)

 米国ではミレニアル世代が消費をけん引しているといわれています。米外食業界においてデジタルネイティブと呼ばれているミレニアル世代の需要を取り込むための戦略として、アプリの開発に乗り出す等、デジタル投資を積極化しています。外食チェーン大手によるミレニアル世代の需要取り込みに向けた動きを探ってみました。

ミレニアル世代の台頭とともに、外食支出が拡大

 米国経済分析局(BEA)によると、米国1人当たりの可処分所得は、上昇傾向にあり、2015年は14年比3.0%増の42,171ドルでした。

 可処分所得の増加にともない、消費の拡大が期待されるなか、1980~2000年頃に生まれた世代を指すミレニアル世代が今後、消費のトレンドを形成すると考えられています。ミレニアル世代は米国の総人口約3億2千万人の4分の1以上を占めるとともに、ベビーブーマー世代(1946~1964年生まれ)をしのぐ、最大の世代層となっています。消費者の関心はモノからコト(体験)へと変化し、消費スタイルが従来の世代とは異なる点に、大きな注目を集めています。

 米国農務省経済調査局のデータによれば、2014年の米食品支出額は13年比3.7%増の1兆4,590億ドルでした。そのうち、外食品支出(自宅以外での食品支出)額は同4.8%増の7,313億ドルに増加しており、外食品比率は初めて50%を超えました。その背景には、ミレニアル世代がレストラン等、モノからコトへ消費の比重を高めていることがあると考えられています。今後も外食品支出額の上昇が期待できるでしょう。

デジタルネイティブをいかに取り込むことができるかに注力

 ミレニアル世代はデジタルネイティブとも呼ばれており、幼少時代からデジタル機器やインターネットに慣れ親しんでいるという特徴が指摘されています。米外食チェーン大手は、ミレニアル世代の需要を取り込むため、デジタル投資を積極化、なかでもモバイルで使用できるアプリ開発に注力しています。

 その中で最も先行していると思われるのが、スターバックスです。同社が提供するモバイルアプリは、
1. モバイルで発注や決済
2. リワード(特典)サービス
3. 自動リロードサービス

などがあります。自動リロードサービスとは、アプリ内のプリペイドカード残高が一定額を下回れば、自動的に入金されるサービスを指します。2016/9期Q2(2016年1-3月)には同アプリを利用した決済回数が800万回/月に達し、米国全体でモバイルアプリによる支払い回数の割合は24%とQ1(2015年10-12月)の21%から拡大しました。

 モバイルアプリの顧客側のメリットは、事前にモバイルで発注と決済を済ませているため、待ち時間がなく、すぐに商品を受け取れる点です。店舗側のメリットは、待機顧客を減らすことで顧客回転率の上昇が見込まれ、売上高の拡大につなげることができる点であると考えられます。スターバックスは、2016/9期の最重要マーケットと位置付けた中国と日本でも、モバイルアプリをリリースしており、今後の売上げ拡大につながることが期待されています。

モバイルアプリの利用フロー

 スターバックスの米国版モバイルアプリでは、アプリへの入金方法として
1. デビットカード
2. クレジットカード
3. ビザチェックアウト
4. ペイパル
5. アップルペイ

があり、いずれかを通じ事前にチャージ(入金)する方法を準備しています。より多くの入金方法を準備し、シームレスな決済につなげることで利便性を高めていると考えられます。モバイルで注文した後、指定した店舗で、待ち時間なく商品を受け取ることができます。

デジタル活用_図1(写真提供:スターバックス)

外食産業のデジタル投資

 マクドナルドは、アプリで顧客に手厚いリワード(特典)サービスを提供しています。条件付きですが、無料でフライドポテトやドリンクの提供を行っています。デジタル投資に関して同社は、他社よりも少々遅れを取っていると認識しており、今後さらなるデジタル投資への注力が予想されます。

 ドーナツ大手のダンキン・ブランド・グループが、2016年6月にモバイル発注・決済アプリの提供を開始しています。加えて16年後半には、カーブサイド・デリバリーを開始する予定です。カーブサイド・デリバリーとは、モバイルアプリで注文した商品をドライブスルーのない店舗を中心に、指定した店舗の近くで車から降りることなく、店舗のスタッフから受け取ることができるサービスであり、車列に並ぶ時間や車から降りる手間を省けるメリットがあります。利便性を求める顧客が増えていることを背景に、今後の売上げ拡大が注目されます。

 他にも、ファストカジュアルレストラン大手のチポトレメキシカングリルやファストフードレストランを展開するヤム・ブランズ等が、すでにモバイル発注・決済アプリをリリースしています。ヤム・ブランズは傘下のケンタッキーフライドチキン、タコベル、ピザハットで、それぞれモバイルアプリを導入しています。

 このように、外食チェーン各社はデジタル投資を積極化しており、モバイルアプリ等の利便性を追求した付加価値のある成長戦略を展開しています。今後もデジタルコンテンツの充実が成長ドライバーになると考えられます。

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