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「アノマリー」― 兜町カタリスト櫻井英明のここだけの株話

「アノマリー」

イスラムのヒジュラ暦の後の株価は高いというアノマリー。
あまり唱える方はおられませんが、2009年以降、ほとんどあてはまりました。

ヒジュラ暦の新年から10日後の上昇率

新年
2017年9月21日   日経平均株価△1.4%、 NYダウ△1.1%
2016年10月2日   日経平均株価△1.1%、 NYダウ▲0.9%
2015年10月15日  日経平均株価△3.0%、 NYダウ△3.0%
2014年10月25日  日経平均株価△10.3%、NYダウ△4.5%
2013年10月5日   日経平均株価△6.6%、 NYダウ△2.3%
2012年11月15日  日経平均株価△5.4%、 NYダウ△3.5%
2011年11月27日  日経平均株価△6.2%、 NYダウ△6.8%
2010年12月8日   日経平均株価△1.4%、 NYダウ△1.4%
2009年12月18日  日経平均株価△5.1%、 NYダウ△2.5%

もう一つ興味深かった動きは、今年のヒジュラ暦の新年9月11日通過の日経平均株価。
アノマリー通りの株高となりましたが、昨年9月SQに向けての動きと比べてみると・・・。

2017年
9月11日(月)270円高。
9月12日(火)230円高。
9月13日(水)89円高。
9月14日(木)58円安。
9月15日(金)105円高。
9月19日(火)389円高だった。
   ▼
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2018年
9月10日(月)66円高。
9月11日(火)291円高。
9月12日(水)60円安。
9月13日(木)216円高。
9月14日(金)273円高。
9月18日(月)325円高。
ほぼ一緒の足取りだったのは面白いですね。

「原理原則」

株価はなぜ動くのか。
根源的な解答は「売る人が多ければ下がり、買う人が多ければ上がる」。
これが究極の原理原則です。
しかし、市場はコレでは満足しません。
脚色された高級な解説を望むもの。
なぜ売る人が多いのか、買う人が多いのか。
この理由探しに躍起になります。
しかし、これで枝葉末節に陥るから相場は見えにくくなるのでしょう。
一般社会では、頭脳明晰な人は簡単明瞭に説明します。
そうでない人は、変なプライドが邪魔をして、複雑怪奇なレトリックで解説します。
本当は簡単明瞭が望まれるのに、そうでないから相場がややこしくなるのでしょう。
しかも、市場は本当の賢さで包まれていないので、多くの事柄が登場すると理解不能状態。
連立方程式さえ解けない場所で多元化すると、それこそ煙に巻かれてしまいます。
高尚な複雑怪奇を捨てて原理原則に立ち戻れば、相場は少し見えてくるように思えるのは気のせいでしょうか。

数字というものは単なる羅列に過ぎません。
ところが、過去からの継続性を加味すると、俄然様相は違ってくるから不思議です。
おそらく株で勝つ方法の一つは、この数字の記憶から推論ができるかどうかでしょう。
例えば・・・。
騰落率が70%台になった。
裁定買い残が1兆円を切った。
空売り比率がバッケンレコードだ。
日経平均採用銘柄のEPSが1,800円を超えた。
200日線からのかい離が40%を超えてきた。
米国のスキュー指数が160%になった。
個々の数字は単なる数字。
しかし、継続性をもたせると記録という異常値が浮かび上がってくる気がします。
この異常値に対する嗅覚こそ、育てなければならないもの。
どうするかといえば、毎日眺めることでしょう。
朝の10分ほどで構いません。
経済紙の相場欄を眺めて、数字の継続性を確認するだけでいいと思います。
あるいは罫線(チャート)を眺めて、かい離を確認するだけでいいでしょう。
昔はこれが手作業でした。
ファンドマネジャーだって、すべて手書きで行っていました。
当然ですが、膨大な時間がかかりました。
しかし、今はコンピュータのおかげで瞬時に数字やグラフが現れます。
幸せな時間が訪れたといえるでしょう。
ただ、残念ながら苦労して時間をかけた手作業の結果の「私だけが知っている」は減少しました。
誰でも簡便に数字を捉えることができるのですから、手間がなくなった代わりに皆が眺める数字は最大公約数となってしまいました。
ただ、誰も眼の前を通り過ぎている数字でも、読解力には差があります。
この読解力=推論こそ自分の宝物。
人生100年時代を迎えるというのなら、たとえ古希でもまだまだ肌感覚を養うのは間に合うことでしょう。
そう考えると毎日が楽しくなってくる筈です。

 

櫻井 英明(さくらい えいめい)
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。
幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。

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