「臆病と豪胆」
商売というのは「臆病」、あるいはその反対の「豪胆・勇敢」につけこみがちなもの。
市場では、心理があるベクトルを持ったときに悪魔の囁きが聞こえ出します。
「もっと下がるよ。どんどん下がるよ。早く売らないと損が増えるよ」。
市場関係者の声ではなく、自分の心の中での悪魔の声。
株価が上がってくれば、「早く買わないと儲け損なうよ。早く、早く」。
しかし、「損が増えるよ」と「儲け損なうよ」では、その影響力に差があります。
人間心理は基本的に「臆病」にできているからです。
古来、多くの人が寺社仏閣に参詣参拝してきました。
これだって多くは漠とした将来への不安が芽生えているからこその行動なのでしょう。
悪魔の囁きが勇敢心理を相手にするとバブルが起こり、逆に臆病心理を相手にすると暴落が起こる。
そういう繰り返しがまた相場の一面でもあります。
「どう利益を重ねるか」というのも株式市場の永遠の課題です。
一般的には「リスクを抑えつつ」というのがついてきます。
では、実際問題ではどうなのでしょう。
例えば、「安全運転の運用をすることが重要だ」といわれます。
しかし、「安全運転」って、どういう運用なのでしょう。
株を買わない?債券で運用する?意味不明になってきます。
「どう利益を重ねるか」=「損をしない」という等式。
では、「損をしない」で株式投資を永遠に継続できるかというのは疑問。
一番カンタンにいえば、「利益は爪を伸ばし、損失は最小限に抑える」です。
「上がっている株が更に上がり、下がっている株は更に下る」というのが株式市場の経験則。
これを守るべきです。
ということは、下がった株をどう処理するのかが重要だということ。
日々トレードをするような忙しい投資家さんなら「マイナス5%」というのが損切り(ロスカット)基準。
そうでないなら、「マイナス10%~20%」というのが損切り基準。
しかし、この基準の基準は「私の買値」。
「私の買値」は市場にはまったく関係ありません。
だとしたら、絶対基準値の「25日移動平均線(あるいは75日線)を下抜けたら売り」というのが、一番わかりやすいでしょう。
上昇下落率や幅でなく、誰もが使う基準値を使えばいいと思います。
市場でいうデッドクロス(例えば、25日線が200日線を下抜けること)したら売りでも構わないでしょう。
「出かけていたから売りそびれた」なんてことはめったにありません。
わざわざ忙しくトレードしなくても十分間に合います。
株は会社が倒産したり、上場廃止になったりしない限り市場からは逃げません。
自分の感覚に自信がないのなら、そもそもその銘柄を買わなければよいはずです。
買いも売りも無駄な商いをしないことが儲けへの早道です。
ある専門家の言葉。
「リスクを恐れるなら、株式投資なんかやめた方がいい」。
「ロスカット・ルールを決めましょう」という、まことしやかな、もっともらしい言葉も聞こえてくるでしょう。
確かに、ある程度下がったら売るというのは「負けた撤退」としては間違ってはいません。
でも、たとえ「5%下がったら売る」というルールでも、20回続ければ投資元本は約3割に減ります。
「半値八掛け2割引」というのが相場の下値を表現する言葉ですが、その水準(投資元本の32%)と変わりません。
それよりも「売ったら休む」という方式のほうが損は少なくなる可能性があります。
投資家さんは利食ったら次の株を買いたくなりがちなもの。
でも、売れたということは相場は高いハズ。
一度深呼吸してから、もう一度トライすることも大切です。
「2019年の投資アノマリー」
そろそろ「2019年の投資アノマリー」と「平成三十一年、称元の年の相場予見」を作らなくてはならない時期。
NHK大河ドラマは第58作。
「いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~」は宮藤官九郎氏脚本、主演は中村勘九郎、阿部サダヲ氏。
舞台は熊本県から始まるそうですから、熊本関連銘柄のアノマリーというのもあるかも知れません。
朝の連ドラは、第100回で「なつぞら」。主演は広瀬すずさん。
こちらの舞台は北海道です。
その他のイベントでは・・・。
1月6日 部分日食
1月21日 皆既月食(日本からは見えない)
2月24日 天皇陛下在位30周年記念式典
3月16日 埼玉県に「ムーミンバレーパーク」が開業
3月29日 英国がEU離脱予定
4月19日 帝劇で「レ・ミゼラブル」が再演開始
GWは10連休
5月5日 イスラムのラマダン(~約1ヵ月)
6月28日 G20首脳会議が大阪で開催(~6月29日)
7月3日 皆既日食(日本からは見えない)
7月7日 サッカー女子ワールドカップ決勝(フランス)
7月17日 部分月食
7月 参議院選挙
9月1日 ヒジュラ暦の新年
9月13日 中秋の名月
9月20日 ラグビーワールドカップが日本で開催
10月1日 消費増税
10月22日 新天皇即位の礼
10月26日 オーストラリア、エアーズロックへの登頂を全面禁止
11月2日 ラグビーワールドカップ決勝戦
11月11日 水星の太陽面通過(~11月12日、日本では見えず。次回2032年11月13日は日本から一部見える)
11月 新国立競技場竣工
12月26日 部分日食、インドなどでは金環食
※ 小惑星リュウグウに着陸している小惑星探査機「はやぶさ2」の滞在終了、帰還は2020年
櫻井 英明(さくらい えいめい)
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長
日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。
幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。
【おすすめ記事】
・日経平均株価とTOPIXの違い
・ジブリが放映されると株価が動く? ジブリ世代の株式投資術
・証券会社の歴史とビジネス
・テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の違い
・株式相場と目利き― 兜町カタリスト櫻井英明のここだけの株話