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最近話題の「おつり投資」っていったいどんなもの?

(写真=Dragana Gordic/Shutterstock.com)

ここ数年、ロボ・アドバイザー(ロボアド)によって運用ができるようになったり、ポイントやおつりを貯蓄や投資に回すことができるようになるなど、フィンテックの進展にともない、さまざまなサービスが誕生しています。今回は、フィンテックサービスの現状と、おつり投資にフォーカスし、どのようなサービスなのかご紹介します。

フィンテックで投資が手軽になった?

最近、日本でもフィンテックサービスが徐々に増えてきました。フィンテックサービスとは、一般にスマートフォンのアプリを活用して、手軽に決済、送金、運用などを行うことができる金融サービスのことをいいます。デザインはシンプルでスマート、また親しみやすさがあり、ユーザーが使いやすいのも特徴です。また、少額から利用できることで拡大しています。

こうした理由もあり、これまで投資にあまり関心がなかった人でも「やってみようかな」と思えるようになってきたようです。例えば、ロボアドなどは、1,000円程度の少額でも投資をすることができます。これまで、投資と聞くと100万円などの比較的大きなお金がないと始められないと思う人たちにとって、心理的障壁が低くなっているといえます。

このように、フィンテックサービスは、シンプルで扱いやすいデザインと手軽な操作、少額投資という始めやすさから注目が集まってきているのです。

おつり投資ってどんなもの?

そのなかで、ここでは「おつり投資」とはどのようなものなのかについて確認しましょう。これもフィンテックサービスの1つで、少額から始められる投資の一種です。買い物をするときにクレジットカードや電子マネーを使うことがあると思いますが、その際、例えば、商品の代金のうち1,000円未満の端数部分の差分について「おつり投資」に回すよう、あらかじめ設定しておくことで、買い物をするたびにその金額分を毎回おつり投資に回すというものです。

つまり、2,535円の商品を購入したとき1,000円札3枚で支払いをしたら、おつりは465円となり、この金額が投資に回るというイメージであれば、わかりやすいのではないでしょうか。

おつり投資の始め方は、まず「おつり投資」専用のアプリをダウンロードして、いくら支払ったことにするのか設定金額を登録します。1,000円なのか500円なのか、それとも100円なのかということを決めておき、クレジットカードまたは電子マネーを設定しましょう。また、家計簿ソフトとも連携することができます。これで、設定した金額に応じて、支払いの際に出た「おつり」が計算されて、月に1度、おつりの総額が投資されるのです。

アプリをダウンロードして登録すれば、後は決済のときに自動的に積み立てられるだけなので、とても簡単。手軽に始められるということをご理解いただけたと思います。

金融庁に承認された金融商品取引業者がサービスを提供

ただ、フィンテックサービスはまだまだ新しいサービスですから、セキュリティはどうなのかと不安に思う人もいるかもしれません。おつり投資のサービスを行う会社は、内閣総理大臣の登録を受けることになっています。このような会社のことを、「金融商品取引業者」といいます。金融商品取引業者の登録は、金融庁に対して登録を申請しなければなりません。加えて、金融商品取引業者の運営がうまくできているか、情報管理が適切に行われているかなど、投資家保護の観点からチェックされる態勢・仕組みが整えられています。

また、おつり投資を通じて投資されたお客さまの資産は、法律によって運営会社の資産とは明確に分けて管理(分別管理)しなければなりません。万が一の場合でも、投資家の資産は守られる仕組みが構築されています。

有名なおつり投資サービスを紹介

「おつり投資」はいくつかの会社が日本でサービスを開始しています。有名なのは「マメタス」と「トラノコ」です。それぞれどのようなサービスなのか次の表にまとめました。

マメタス トラノコ

【運営会社】
ウェルスナビ株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2884号

【運営会社】
TORANOTEC投信投資顧問株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第384号
【概要】
ロボアドバイザーにより、国際分散投資として自動運用。投資対象は、日本、米国、欧州などの先進国、アジア諸国を含む新興国といった幅広い国や地域が投資対象。株式、債券、コモディティ(金)、不動産など幅広く投資
アンケートに答えて5つのリスク許容度の中からタイプを選択
【概要】
ファンドマネジャーが世界中の株式、債券、不動産、コモディティ、金利等の資産に広く分散投資。 安定・バランス・リターン重視の3タイプから選択
【手数料】
預かり資産の日々の時価評価額に対し、最大 年1.0%(税抜)

【手数料】
投資信託保有期間に間接的に負担する費用として、
信託報酬:日々のファンドの純資産総額の年0.3%程度(税抜)

信託報酬以外にファンドの保有期間に応じて、その他の費用等がかかります。その合計額は、ファンドの保有期間等に応じて異なるため事前に表示することができません。

なお、ファンドにかかる費用等とは別に、サービスにかかる費用として、月額利用料および換金時の出金手数料が直接かかります。

【連携している家計アプリ】
Moneytree
【連携している家計アプリ】
マネーフォワード、Zaim、Moneytree

(2018年11月末現在、各社HPより)
※おつり投資のリスクに対する注意事項
①.投資している商品の価格が変動することによって損失を被るおそれがあります。
②.投資に際しては、契約締結前交付書面や目論見書、各種のお客さま向け資料の内容をよくお読みください。
③.投資に関する最終の判断は、お客さまご自身の判断でお願いいたします。

どちらも、サービスを利用するにあたっては、おつり投資専用の口座開設が必要です。その際、マイナンバーや本人確認書類、メールアドレスや引き落としされる銀行の口座番号、クレジットカードなどが必要になります。登録には時間がかかる場合もあります。また、口座開設には審査があります。

リスクは忘れないようにしましょう!

おつり投資の形態には、一種のロボアドように簡単な質問からお客さまの投資意向をうかがい、その結果にもとづき自動的に運用してくれるものと、リスク・リターンの異なる複数の投資信託のなかから1つ、または複数の投資信託を投資家自ら選択して投資するタイプの2つがあります。どちらも、さまざまな投資先に直接、または投資信託を介して間接的に分散投資が行われますが、市況の変化によっては評価額が下がる場合もあります。つまり、元本保証のサービスではありませんので、事前にリスクをよく確認しておく必要があります。

おつり投資で運用していると、投資に興味をもつことで徐々に経済や為替、世界情勢が分かるようになってきます。この国がこうなったから下がった・上がったということが分かってくると、もっと投資が楽しく、身近に思えるでしょう。おつり投資でちょっとずつ投資を勉強してみましょう!

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