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「曜日のアノマリー」― 兜町カタリスト櫻井英明のここだけの株話

「曜日のアノマリー」

TOKYO MXの「東京マーケットワイド」、火曜前場の相方の藤波ゆり子キャスターが毎週の積み重ねで毎年調べてくれている「曜日別勝敗」。
誰も口にも顔にも出しませんが、実は実況の日のパフォーマンスというのは気になるもの。
株高の日は明るくできますが、なぜか株安の日には落ち込んでしまうもの。
その意味では、投資ではなく実況パフォーマンスと言えるのかも知れません。
以下はその2018年(取引日245日)の曜日別勝敗。
負け越しは水曜だけ。
結局、火曜高の水曜安の動きは変わりませんでした。

2018年(取引日245日)

《月曜》23勝20敗:前場22勝21敗 (勝率51%)、後場23勝20敗(勝率53%)
《火曜》31勝20敗:前場27勝24敗(勝率54%)、後場31勝20敗(勝率61%)
《水曜》22勝28敗:前場20勝30敗(勝率40%)、後場22勝28敗(勝率44%)
《木曜》26勝25敗:前場27勝24敗 (勝率53%)、後場26勝25敗(勝率51%)
《金曜》26勝23敗:前場27勝23敗(勝率54%)、後場26勝24敗(勝率52%)

2017年(取引日247日)

月曜26勝20敗(勝率56%)
火曜20勝31敗(勝率39%)
水曜31勝20敗(勝率60%)
木曜25勝25敗(勝率50%)
金曜27勝22敗(勝率55%)

2016年

月曜 26勝21敗(勝率55%)
火曜 28勝23敗(勝率55%)
水曜 23勝27敗(勝率46%)
木曜 25勝22敗(勝率53%)
金曜 26勝24敗(勝率52%)

でも、よく見ると・・・。
昨年は、火曜高・水曜安。
一昨年は、火曜安・水曜高。
その前年は、火曜高・水曜安。
となると、順番的には2019年は「火曜安・水曜高」の順番。
こういう曜日のアノマリーもあります。

「●○○」・・・(負・勝・勝)

●○○となった年初3日。
このケースの年間騰落は、4勝2敗で勝率66.7%。
1月はすべて月足陽線でした。
●○○は今年で7回目。
過去6回の年間平均騰落率。

1954年▲5.8%
1960年△55.1%
1964年▲0.7%
1972年△91.9%
1988年△39.9%
1994年△13.2%。

平均では△32.2%です。
ある投資家さんの指摘は、「●○○のパターンは1988年に似ている」。
チャートを見てみると、1月の21,000円台から、12月には30,000円台へ。
AIが過去を踏襲するのなら、この記録も登場してくる可能性も否定は出来ません。
1988年から1989年がバブルの絶頂期。
意外と良い年かも知れません。

「はやぶさ2」は、約3億キロ離れたリュウグウに到着しました。
打ち上げが2014年12月3日でしたから約4年。
当時の日経平均株価は、17,000円レベル。
日経平均株価の24,000円台なんて当時では荒唐無稽とも言われていましたが、実現しました。
相場にはコレくらいの時間軸が欲しいものです。
「光陰矢の如し」
「歳月人を待たず」
相場に必要なのは、微分ではなく積分だと言ってきました。
もっとわかりやすく言えば、相場に必要なのは顕微鏡ではなく望遠鏡だということ。
刹那的な短時間での相場観測が横行するから、相場観が間違うのでしょう。
昨年のクリスマス、そして今年の大発会。
誰もが絶望しました。
しかし、不死鳥のように相場は息を吹き返しました。
目先にとらわれずに相場を見れば「日経平均株価のPBR 1倍割れと、東証1部株式時価総額700兆円」のレンジの戦い。
そう考えるとスッキリするような気がします。
「気の利いた化け物は引っ込む時分」という諺が妙に心に染みるようです。
「月日変われば気も変わる」です。
「今日のあとに今日なし」の域の真逆なのでしょう。
「相場は天井において最も強く見え、底において最も弱く見えるもの。
人が気づかぬところに如何に目を配り、人が気づく前に如何に早く行動しているか。
買って、売って、休む。
これが、成功する道」。
投資家さんの声ですが深いものです。

「完全に正しい投資理論はないと考える」

ブラック・ショールズ理論とか波動論とか、さまざまな投資理論があります。
最近では、ヘッジファンドなどが使うアルゴリズム売買などもその範疇に入ります。
どんな理論もそれなりに存在価値はあるもの。
ただ、完全に正しい理論と云うのはないように思います。
というよりも、もしあるとすれば、世間には出ていないような気がします。
理由は簡単。
必ず儲かる方法、必ず利益を上げられる方式を見つけ出した人がいるならば、それを活用して自分だけのものとして秘蔵するに違いないからです。
筆者でも、もし完全に正しい投資理論を発見したら必ずそうするでしょう。
そういう意味では、投資理論は「参考にはしても完全に信用してはいけない」ということになります。
結局信じられるのは自分の目、耳、手足という「私」。
ユニクロの店にお客さんが多い、ヤマダ電機の駐車場に並ぶ車が多くて休日には渋滞になる、A社は夏休みが10日もあるが、B社は夏休み返上で稼動している。
こんな情報の方が、どんな投資理論にも勝ると考えた方が良いと思います。

 

櫻井 英明(さくらい えいめい)
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。
幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。

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