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「シミュレーション」― 兜町カタリスト櫻井英明のここだけの株話

「シミュレーション」

市場はヒーローを追いかけがちな場所。
しかし、重要なのは「ヒーローを追いかけること」ではありません。
「次のヒーローを想像すること」。
そして、「ヒーローのリバイバルのタイミングをはかること」です。
今のヒーローを追いかけるのは、高値つかみの可能性が高く結構危ないということ。
次のヒーローを想像するのは難しいことですが、その方が精神衛生上は良いかも知れません。
あるいは、「ヒーローが倒れたあとのリバイバルにタイミングを図ること」。
一度上がった銘柄は、多くの人の目に触れていますし材料も理解されやすいもの。
だから、復活の時を待つという姿勢もアリだと思います。
「人の行く裏の道」というのは暗くて寂しいですが、「人の行くトナリの道」なら気が楽な筈です。

シミュレーションというのは、さまざま。
相場感覚を磨くには、「50億円とか100億円のオーダーをさばく」というシミュレーションが役立つかも知れません。
個人投資家さんで億円単位のトレードをすることは滅多にないでしょう。
しかし、市場を左右するような機関投資家のトレードは億円単位。
30億円のバスケットなどが日々のトレードです。
だったら、そういう人種がどういう視点で株価の形成を眺めるのかを知ることは悪くはないはず。
ただ、やってみると、これは結構な大仕事。
鉄鋼セクターや銀行セクターなどの大型株ならいざ知らず、中小型株を50億円どころか少額で買うシミュレーションでさえ結構疲れるもの。
まず1日では終わりません。
そういうスキルを持ちつつトレードをしている連中と戦うには、このことを知っているかどうかは重要です。
板を読みながら、板の向こうにいる敵を想像しながらの商いというトレード。
「リクイディティ=流動性」を気にし始めると、一歩前進した気分になるでしょう。
100株、1,000株の世界とはまた違った風景が見えてくるに違いありません。
知っていると知らないとでは、この点は大違いと言って良いでしょう。

「4つのテスト」

先日、都内のあるロータリークラブで講話を依頼されました。
そもそもロータリーには「4つのテスト」というのがあります。
ロータリークラブのメンバーが守る行動規範とされています。

「言行はこれに照らしてから
(1)真実かどうか
(2)みんなに公平か
(3)好意と友情を深めるか
(4)みんなのためになるかどうか 」

株式市場関係者として、(1)と(3)はクリアできるでしょう。
問題は「みんなに公平か」ということ。
儲かる人もいれば、損する人もいるのが株式市場。
「公平か」と問われると、少し萎縮してしまいます。
あるいは、「みんなのためになるかどうか」。
これも損得の世界ですが、例えば、「国民金融資産の健全な育成のため」とか「長期産業資本の安定的供給」は「みんなのため」。
なんとかクリアできるのかも知れません。
持ち時間一杯、現状の相場環境と見通しをお話した後に登場したのは「もう少し聞きたい」。
株式講演会やIRセミナーなどでアンコールというのは初めてのことでした。
セミナー終了後のお茶会の時に、あるメンバーさんが、「私は、いつも見ている銘柄を下がったら買うことにしているよ。結構儲かったよ」。
別のメンバーさんは、「親から相続した株が邪魔だったので、全部売ってしまい、自分の好きな株に変えて良かった」。
あるいは、「時々テレビで見ているよ。どこかで見た顔だと思った」。
そして「来年また来てよ」。
どうやらゲストとして「4つのテスト」には合格したようでした。

「石垣島」

石垣島まで遠征したある年の6月の金曜日。
羽田で飛行機に乗った時点で日経平均株価は200円以上の下落。
ところが、到着直後の大引けは215円高。
私は、「西へ向かえば株高」のアノマリーと勝手に名付けています。
因みに、過去5年とも石垣島に遠征した週末は株高でしたから、知り合いの方々からは「西にずっといなさい」とも言われます。
あるいは、ある年の7月に札幌へ3日間遠征したら日経平均株価は379円高、463円高、175円高。
合計1,017円もの上昇。
こちらは「札幌遠征株高のアノマリー」と名付けました。
この10年くらい、こういう状況は個人的に多く続いています。
今年は1月25日(金)の午後に熊本に向かったら、日経平均株価は198円高。
2月15日(金)の大引け後に福岡に向かったら、翌月曜日の日経平均株価は381円高。
2月28日(木)の大引け後に松山に向かったら、翌金曜日の日経平均株価は217円高。
5月13日(月)の福岡行きの時の日経平均株価は、153円安でしたが、5月26日(日)の福岡行きの翌日27日(月)の日経平均株価は65円高。
6月7日(金)に札幌に向かったら、日経平均株価は110円高。
因果関係などまったくない筈ですが、どういうわけか「場にいないと株価は高い」という勝手なアノマリーは個人的に多少有効なようです。
そんなアノマリーをみなさんが作ってみると、結構楽しいのではないでしょうか。
東京MXTVで毎日放送されているストックボイスの「東京マーケットワイド」。
リーマンショックの直後に流行したのは、「お昼をカレーにすると株高」。
後場の実況に備えて必死に汗をかきつつ、カレーを食べた記憶が蘇ります。
あるいは、個人的な勝負ネクタイは「シカゴブルズ」。
稀にしか締めませんが、結構効き目があるようです。
「お守り」というのも個人的には結構気にしています。
ある時、岡山・大浦神社の勝守を投資家さんから頂戴しましたが、その後株価は上昇基調だった記憶があります。
黄色地に描かれた馬が、フェラーリの紋章に見えて相場との相性は良さそうでした。
青森県八戸市の蕪嶋神社の「株上がりひょっとこ守」も、やはり投資家さんから頂戴しましたが、これも株価反騰の時期で効能があったような気になりました。
こちらも黄色の地に「株上がり」の字が輝いていました。
別の投資家さんからは、山梨県富士吉田市の新屋山神社(金運神社)の勝守。ただ、色が郡青だったこともあり相場への効能はイマイチでした。
もっとも・・・。
「お守り」はアノマリーではありませんが、相場低迷期などには結構すがりたくなるものです。

 

櫻井 英明(さくらい えいめい)
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。
幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。

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