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格安SIMが大手携帯電話会社より安い仕組み

SIM
(写真=PIXTA)

2016年9月、スマホアプリで有名なLINEがMVNO事業に参入。月額500円(税抜)で1G(ギガ)のデータ通信が利用できる格安SIMを発売するというニュースが注目を浴びました。格安SIMを使った通信サービスにさまざまな事業者が参入していますが、なぜこんなに安い料金で利用できるのでしょうか?

最近注目を集める格安SIMとは?

格安SIMとは、NTTドコモやKDDI (au)、ソフトバンクといった大手携帯電話会社(通信大手キャリア)より大幅に安い料金で通信サービスを利用できるSIMカードのことで、サービスを提供する事業者のことをMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)といいます。例えば、NTTドコモの通信回線を借りてサービスを提供しているOCNモバイルONE、IIJmio、楽天モバイルなどが有名です。

総務省の「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表」によると、2016年3月末でのMVNOサービスの契約数は1,269万件(うちSIMカード型の契約数は604万)となっています。前年同期より32.5%も増加しており、利用者が急増しているのがわかります。

SIMカードと呼ばれるICチップには、電話番号などの利用者を特定する情報が記録されていて、これが無ければ通信や通話ができません。通信大手キャリアでは、基本的にSIMカードを携帯電話やスマホにセットした状態で端末を販売するため、目にしたことがないという方もいらっしゃることでしょう。

SIMカードは、どの端末でも使えるというのではありません。例えば、NTTドコモで契約したSIMカードはNTTドコモで買った端末でしか使えない、というのがこれまでの実情でした。格安SIMでは、SIMフリー対応の端末ならばどの端末でも利用できます。機能にこだわらないなら1万円しない端末もあり、初期コストも安く済みます。

格安SIMの相場は? 通信大手キャリアと比較

スマホ利用者にとって、利用料金の高さは少なからず家計に影響を与えています。通信大手キャリアの利用料金は少なくとも月額6,000円程度、家族全員のスマホ利用料金が2~3万円という家庭もあるようです。

では、通信大手キャリアと比較して、格安SIMの値段はどのくらい下がるのでしょうか?

データ通信だけ行うのか、通話もできるプランなのか等でプラン料金はさまざまですが、IIJmioの通話もできるプランなら、データ通信3Gで月額1,600円~となっています。通話料金は30秒あたり20円かかるので注意しなければなりませんが、あまり通話しないというのなら、格安SIMの方が安く済むでしょう。

格安SIMは、なぜ安く利用できるのか?

このように、格安SIMなら通信大手キャリアの数分の1の料金にすることも可能ですが、なぜこんなに安く利用できるのでしょうか。

それは、MVNOの事業形態にあります。通信大手キャリアは自社で基地局を設置、ネットワークを維持管理しているため、その無線通信インフラのコストが利用料金に反映されています。一方で、MVNOは通信大手キャリアのインフラを借り、それを利用者に細分化して提供しています。自前でインフラを持たない分コストが安く済むというわけで、「仮想」の移動体通信業者という名前もそのためです。

価格が安いというメリットの反面、デメリットは?

このように、価格が安いのが大きなメリットの格安SIMですが、デメリットもあります。よく指摘されるのが通信速度の問題です。通信大手キャリアの通信帯域の一部を借りているMVNOでは、利用者が多くなる時間帯に速度が遅くなる場合もあるようです。

また、通信大手キャリアでは、すぐに利用できる状態で端末を購入できますが、格安SIMは基本的にネットで購入し、対応した端末を用意して自分で初期設定も行わなければなりません。トラブルが起きた場合には、端末の故障か、SIMカードの不具合かを判断したうえで問い合わせるなど、基本的には自分で解決しなければなりません。

最近では、IIJmioや楽天モバイル、FREETELなど、家電量販店などで契約できるMVNOも増えており、別料金を支払えば、設定やサポートを行ってくれるMVNOもあります。

格安SIMのメリット、デメリットを理解したうえで、自分に合ったMVNO、契約プランを選んで上手に取り入れれば、大幅に利用料金を節約することも可能でしょう。格安SIMが、スマホ利用の選択肢を大きく広げてくれていると言えるのではないでしょうか。

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