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本格的なEV時代が到来する? 次世代自動車の開発競争が加速

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(写真=PIXTA)

2017年1月5日~8日に米ラスベガスで開催された家電見本市「CES 2017」では、電動車両や自動運転技術の開発競争が加速し始めたことが印象付けられました。今後、「環境」「安全」をキーワードに、電動車両やコネクテッドカーの開発競争に拍車がかかる見通しです。

環境規制の強化が追い風に! 電気自動車(EV)の時代がやってくる?

「環境」の技術では、電気自動車(EV)が当面の排ガスゼロ車(ZEV:Zero Emission Vehicle)として本命視されはじめています。国際エネルギー機関(IEA)は2020年時点の世界のEV保有台数を1,290万台(2015年実績は81万台)と予想し、2030年には1億4,000万台に達するとの見方を示しています。本格的なEVの時代が到来する可能性が高まっています。

こうした背景に、世界的な環境規制強化の動きがあります。米カリフォルニア州では、自動車メーカーに一定割合のZEVやTZEV(過渡的な排ガスゼロ車:PHV)の販売を義務付けるZEV規制(※1)を段階的に厳しくすることを計画しています。中国でも同様の規制が導入される予定であり、今後は主要国で環境規制の強化が進むと言われています。

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コネクテッドカーが新たなサービスを生みだす

「安全」の技術では、自動運転技術の着実な進化があげられます。特に、インターネット通信機能を持つコネクテッドカーは自動運転車の実現に向けた大きなステップと期待されています。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の調査によると、2017年から2022年にかけてコネクテッドカー関連市場は年平均24.3%で成長すると見込まれています。特に、先進運転支援システム(ADAS)やカーシェアリング等は急成長の分野と位置付けられています。

また、「CES 2017」でもっとも注目されたのが、人の感情を理解するAIを搭載したコンセプト車です。運転手の表情や動作を認識するAIの技術をクルマの安全性向上に活用していく取り組みが注目されます。スマートフォンの普及やAI、深層学習の技術向上により、自動車メーカーが外部企業と協業して技術開発を行う流れが加速していきそうです。

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技術革新の大波に乗る企業に注目

やがて到来するであろうEV時代、注目すべきは次世代自動車を開発している企業だけではありません。自動車会社の技術革新に貢献する企業にも大きな恩恵が生じるでしょう。また、電動車両に不可欠である車載電池も今後需要が拡大する見込みで、電池材料が中期的な成長をけん引すると期待されています。技術革新の大波に乗る企業にも注目が集まるでしょう。

※1 カリフォルニア州を中心に10州が導入しており、対象となる州内での自動車販売台数に応じて一定割合のZEV(FCV、EV)やTZEV(PHV)を販売することを各社に求める規制

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