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業績の拡大が期待される防衛関連

Defense
(写真=PIXTA)

 2017会計年度(16年10月~17年9月)の米国の国防予算は、2016年度比で0.4%増の5,827億ドルと、小幅ながら2年連続の増額となりました。

 中国やロシア、北朝鮮、イスラム国など地政学的不安定要素が高まっています。これらは短期的な解決が難しいとみられており、世界各国は国防を一層強化する必要に迫られています。そのなかで、防衛関連企業に業績拡大の期待が高まっているのです。

米国の国防予算は小幅ながら増加傾向にある

 2016年2月9日、オバマ大統領が議会に17会計年度(16年10月~17年9月)の予算教書を提出。そのなかで国防総省は総額5,827億ドルの国防予算を要求しました。これは16会計年度成立予算(5,803億ドル)から0.4%増に相当する水準です。

 イスラム過激派組織ISILの対策費として16年度比50%増にあたる75億ドルを充てたほか、ロシアの脅威に向けた欧州への支援の予算を同じく前年度比で約4倍にあたる34億ドルとしました。

 米国の国防予算は、01年9月11日に起きた同時多発テロ以降、増えていましたが、10年度をピークにゆるやかに減少しています。13年度には想定外の強制削減で大幅に落ち込みましたが、その後は世界的な情勢不安の深刻化を反映し、16年度と17年度はゆるやかなペースながら前年度比での増加傾向が続いています。

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世界的な情勢不安が深刻化

 国防予算を増やしている背景の1つとして、テロの脅威が高まっていることが挙げられます。2015年6月に米国務省が公表した14年の世界テロ年次報告書によると、同年の発生件数は13年比35%増の1万3,463件、死者数は同81%増の3万2,727人といずれも大幅に増えています。

 テロ発生件数は、11年と12年の2年続けて前年比で減りました。これは11年5月に国際テロ組織アルカイダ指導者のウサマ・ビンラディン容疑者が殺害されたことが組織に回復が難しい打撃を与えたからと見られます。

 しかし13年、14年は再び増加傾向に転じました。15年については、フランスのパリで1月と11月に2度、チュニジアでは3月、6月、11月と3度、大規模テロが発生しました。また同年10月にエジプトで発生したロシア旅客機墜落についてロシア政府は、爆発物が原因のテロと断定しました。レバノンやトルコなどでは自爆テロで大勢が死亡するなど、状況は深刻化しています。

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ロシア、中国、北朝鮮等への懸念

 ロシアについては、米国との関係悪化が懸念されています。プーチン大統領が2015年末に承認した「連邦国家安全保障戦略」でロシアの安全保障上の脅威の1つとして米国を初めて名指ししています。また中国が南沙諸島(中国沖、ベトナムとフィリピンの間あたり)につくった人工島の滑走路で民間機を試験飛行させたほか、北朝鮮が16年3月、国連の制裁決議採択を受けてさらなる強硬姿勢を示すなど、世界的な緊張は高まる一方です。

 こうした背景の中で、国防を一層強化する国は少なくありません。

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 英国のキャメロン首相は15年11月、ISILやウクライナ危機、サイバー攻撃などへの対策強化を目指し、今後10年間の防衛費を120億ポンド(約1.9兆円)増額する計画を発表しました。日本も同年12月、16年度予算案の防衛費を5兆500億円超と4年連続で増額しました。日本の防衛費が5兆円を超えるのは史上初です。

米大統領選挙による軍事戦略への影響

 米国の軍事戦略を大きく左右する他の材料として考えられるのは、大統領選挙でしょう。

 通常、共和党は軍事費用を増額する傾向にあり、オバマ大統領の出身政党である民主党は抑制する傾向といわれます。昨今の世界的な緊張を背景に、民主党の大統領候補が当選したとしても、大幅減額の可能性は低いと考えられます。

 実際、21世紀に入ってから国防予算が最大となった10会計年度は民主党のオバマ政権でした。大統領選挙の民主党候補で今のところ優位に立つヒラリー・クリントン前国務長官は、ISILの空爆強化など、オバマ路線よりも強硬な姿勢を示しています。また支持率でクリントン氏を追うバーニー・サンダース上院議員は、具体策こそ示していませんが、「残虐なISILを地上から駆逐する」と述べています。

世界的な国防需要の強まりで恩恵を受ける銘柄

 世界的な国防需要の強まりに国防関連、航空関連企業が特に恩恵を受けると考えられます。

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