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新興国は徐々に最悪期を脱する動きも 中国・ブラジル・インドほか

ブラジルは景気低迷続くも、汚職捜査の進展で一部に政権交代期待

 国別でみていくと、ブラジルは資源需要が下がっていることや、金融引き締めで内需が低迷していること、さらには汚職疑惑で政治が混乱していることから、2016年まで2年連続で経済成長率はマイナスとなる可能性が高まっています。

 ただ、ここにきて政治情勢には変化がみられます。下院において大統領弾劾審議が可決されました。弾劾理由として予算における違法会計操作等を挙げています。今後、上院において弾劾裁判が設置され、判決がでるまでルセフ大統領がいったん職務停止となる可能性が高まっています。政権交代期待や原油価格等、商品市況の上昇でブラジルレアルは上昇しています。

 リスクとしては、新政権のもとでも低所得層の支持を得るため財政面からのバラマキが続き、財政改革が遅れること、原油価格の反落で国営石油大手の財務悪化が続くといったことが挙げられます。

インドは経済改革により景気回復に向けた動き

 インドはモディ首相が率いる政権のもと経済改革が続き、ラジャン中銀総裁が物価を安定させるなど政策に対する信認が向上してきており、中期的には高成長が続くとみられます。税制改革などの重要法案の審議は遅れていますが、2016年予算ではインフラ投資を維持すると同時に、農民向け支援を拡充して企業・金持ち優遇とみられる政策イメージを払しょくしました。長期政権に向けた布石を着々と打っているといえそうです。

 新興国のなかでは、短期対外債務は外貨準備に比べて低水準な部類といえます。リスクとしては、インドは原油の輸入が輸出を大幅に上回っているため、原油価格が急騰すれば経常赤字が拡大することです。そしてインフレ圧力が上昇することが挙げられます。

豪州は緩やかな景気拡大が続く見込み

 豪州は資源関連投資が低迷していますが、低金利環境が住宅価格や個人消費を下支えしてゆるやかな景気拡大が続いています。今後は総固定資本形成の悪化が徐々に一巡し、雇用が改善に向かうか注目されます。総固定資本とは、民間企業、公的企業、政府、非営利団体および家計(個人企業)が新規に購入した有形または無形の資産のことです。

 金融政策は当面、政策金利(2016年4月現在、2%)を据え置き、景気下支えを継続するとみられます。毎年5月に予算案が発表されますが、財政規律の維持や7月に予定されている総選挙を意識して、家計や中小企業支援策などが盛り込まれるとみています。

新興国は徐々に 図1

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