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新市場に商機を見いだす、ITサービス業界のトレンド

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(写真=PIXTA)

 ロボット、人工知能、IoT(インターネット・オブ・シングス)、自動運転、フィンテックといった技術革新が具体化しはじめ、IT投資は持続的な成長を遂げる可能性が高まっています。フィンテックの潮流と次世代モバイル通信システム「5G」への移行がITサービス業界を取り巻く2大テーマとして注目されています。

金融系のIT投資のすそ野を広げるフィンテック

 ファイナンスとIT(情報技術)から成るフィンテックが金融業界に変革を迫っています。フィンテック浸透の背景には、スマートフォンやクラウド技術の普及、ビッグデータの利用拡大等があり、すでに決済・送金、資産運用、融資等の分野でフィンテックが活用されています。フィンテックは遠い将来の技術ではなく、すでに実用段階に移行しつつある技術として、ITサービス各社のビジネスの幅をさらに広げる可能性があります。

 2016年5月に政府は金融機関がフィンテックという技術革新に対応しやすくするための銀行法改正を行いました。これまでは金融機関は事業会社に5%超の出資を行うことができないという制約がありましたが、今後は金融庁の認可を受ければフィンテック企業を子会社に取り込むことができます。また、子会社が決済関連事務を受託する場合、親銀行グループに50%以上の収入依存度を求める規制も引き下げる方向で見直されています。政府の規制緩和を受け、今後は金融機関によるフィンテック投資がますます加速すると期待されています。

 また、新たなIT技術としてブロックチェーンが注目されています。4月に経済産業省が潜在市場を67兆円と試算したことで、インターネットの登場に匹敵する技術革新と捉えられています。ビットコインという仮想通貨の背後にある技術であり、企業全般の情報システムに大きな変革をもたらす可能性が注目されています。また、仮想通貨を利用したテロ資金対策の強化を目指す国際的な潮流に対応し、仮想通貨と法定通貨を交換する取引所を登録・免許制にしたり、顧客の本人確認を義務づけるといった取引ルールの整備も進んでいます。こうした政策面からの支援を受けるフィンテックがITサービス各社に大きな商機をもたらす可能性があります。

IoT、自動運転等、次世代技術の基盤となる5G

 IoTはフィンテックと並ぶITサービス各社にとっての成長分野と位置付けられます。パソコン、スマートフォンだけでなく、クルマや家電、産業機器等、あらゆるものがインターネットにつながる時代が到来しつつあります。靴や衣服までもがインターネットにつながるとも言われ、インターネットに接続されるモノの数は2020年に500億個(2013年は100億個程度)を超えると予測されています。IoTはインターネットを経由して情報をやりとりするため、通信の技術革新や情報セキュリティの確保が本格的な普及のカギを握ると言われています。

 こうしたなか、特に、ITサービス業界で注目しているのが次世代のモバイル通信システム「5G」への移行です。通信業界では10年サイクルで技術革新が生じており、「5G」の導入は2020年頃が予定されています。競合他社が「LTE」のサービスを開始したのは2012年頃には、情報通信業界のソフトウエア投資額が2011年度に10年度比30%増で伸長したことから、ITサービス業界では「5G」投資に大きな期待を寄せています。「5G」には従来のモバイル通信の高速化だけでなく、IoT向けの通信仕様が標準で組み込まれるのが特徴です。IoT時代に求められる「超高信頼・超低遅延」「多数同時接続(大量の機器間通信)」に対応する「5G」への投資が進むと期待されています。2019年3月期頃から「5G」向けの研究開発投資から顕在化し始めると予想しており、ITサービス各社にも大きな恩恵が生じるという見方があります。

 フィンテックの潮流や次世代モバイル通信技術への移行を見据え、ITサービス企業が再評価される可能性が高まりつつあります。

新市場に商機を見いだす_図1出所:総務省「第5世代移動通信システム(5G)、高度道路交通システム(ITS)の現状と国際動向」より作成

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