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売買タイミング予測に使える「トレンドチャネル」とは?

【★基礎からわかる「テクニカル分析」入門4】

買いたい・売りたい銘柄があるときに、「いつ」売買するのかを見極めることは重要です。今回は、売買タイミングを予測するのに役立つ「トレンドチャネル」をご紹介します。

「トレンドチャネル」とは、主要トレンドに沿って動く、価格の上限~下限の平行ゾーン(上限のトレンドラインと下限のトレンドラインの間)のことです。

どんなことに使うのかというと…
1. 売買タイミングの推し量り
2. 相場の行き過ぎのチェック
3. トレンド転換のシグナルの推察・確認
などを確認したいときです。

トレンドチャネルを使えば、より売買タイミングを判断しやすくなります。ぜひ学んでおきましょう。

売買タイミングの推し量り

トレンドチャネルの作りかたと、実際のチャートをみていきましょう。

下の図は、安値と安値、高値と高値の「切り上がり」が継続するパターンの「上昇トレンドチャネル」です。実際に上昇トレンドだとわかるのは、安値②から高値②の過程で、高値①を上回ったときです。

高値①を上回った時点では、高値②まで上値余地は限られるため、再度下値支持線(トレンドチャネル下限近辺)まで、価格が下がる調整局面を待ちます。

仮に下値支持線近くで出来高をともなって、価格が下げ止まった場合や、数日間の下値固めとなった場合は、ここで買いを行うといいでしょう。このときの注意点は、価格の下げは、安値①と安値②を結んだ下値支持線上でピタリと止まるとは限らない、ということです。下値支持線の手前で切り返すこともあれば、下値支持線を少し下回ることもあります。

下値支持線近辺で買ったら、高値①と高値②を結んだ上値抵抗線(トレンドチャネル上限)の延長線上を売りのタイミングの目安とします。

あくまでもトレンドチャネルは「上値」や「下値」のひとつの目安です。

下値支持線の傾きに合わせ、移動平均線などのテクニカル指標を用いるなど、より精度の高い複眼的な分析をすることをおすすめします。

相場の行き過ぎのチェック

次は「相場の行き過ぎのチェック」の例です。下の図は「買われ過ぎ」の局面で、高値①と高値②を結んだ上値抵抗線を勢い良く上回るパターンです。

短期売買を繰り返している場合、あまりに近視眼的に陥ると、このような局面での高値で買ってしまう傾向があります。トレンドチャネルを逸脱した場合は、「相場の行き過ぎ」による警戒局面でもあるので、冷静になることも大切です。

実際のチャートの例でみてみると、高値①と高値②を結んだ上値抵抗線の延長線上で売りのタイミングを示唆しています。その後、上値抵抗線を上回ったところが高値の極値となっていますね。少し相場が行き過ぎてしまった場面です。

1年から数年間続く長期トレンドであるメイントレンドが上昇傾向であったとしても、
数日間の短期トレンドであるマイナートレンドが下値支持線に向かっている調整局面に買いを行うことが基本です。
( ⇒メイントレンド、マイナートレンドについては「トレンドライン」の記事で紹介しています。)

トレンド転換の推察・確認

次は、トレンドチャネルと価格の動きを照らし合わせ、「トレンド転換の推察・確認」をする方法をご紹介します。

図のように高値と高値、安値と安値が切り上がる「上昇トレンドチャネル」の場合、
①のように上値抵抗線まで高値が届かなくなると、上昇トレンドの変調となります。
しかし、その時点ではまだ上昇トレンドは継続中とみなします。

次に、上値が重くなったあと、②のように下値支持線を上から下に割り込んだ場合、継続していた上昇トレンドが下降トレンドへ転換した“シグナル”とみなします。

とくに、下値支持線をザラ場中の安値ではなく、終値ベースで下へ割り込んだ場合、下降トレンドへの転換の信頼性は高くなります。

次に、③のように下値支持線が上値抵抗線へと変わる局面を「トレンドの反転」とみなし、戻り売りのタイミングとなります。

③の局面で出来高や売買代金の増加をともなわない場合、上昇トレンドは劣勢と判断し、「下降トレンド」入りはさらに信頼性の高いものとなります。

下の図は、先ほどとは逆に、「下降トレンド」から「上昇トレンド」になるトレンド転換のパターンです。

ここでも、まず①のように下値支持線まで安値が下がらなくなると、「トレンドの変調」のサインです。そして②では、しばらく続いていた上値抵抗線を上回った場合、下降から上昇へという、「トレンド転換」とみなされます。

その後、③では上値抵抗線が下値支持線へと反転し、この局面が「押し目買い」のタイミングとなります。

トレンド転換の実例をみていきましょう。

①のところで、下値支持線の手前で切り返しています。これがトレンドの変調・予兆です。
この時点ではまだ、トレンド転換とは言い切れず、下降トレンド継続中とみなします。

その後②のところで、上値抵抗線を下から上へブレイクしたら、下降から上昇への「トレンド転換」のシグナルとなります。

そして、③で上値抵抗線が下値支持線へと反転したら、「押し目買い」のタイミングです。

トレンドが反転したあとは、①と③の安値を結んだ線が新しい下値支持線となり、その延長線上を買いのポイントとして調整局面を待ちます。

さて、今回は売買タイミングを予測するトレンドチャネルの見かたについてご紹介しました。
トレンドチャネルだけでなく、各種移動平均線をはじめ、トレンドの有無や強弱を示すDMIなどほかのテクニカル指標を併用して、分析の精度を高めて、バランス良くアプローチすることが大切です。これからのレッスンで解説していきますのでどうぞよろしくお願いいたします。

>>次のレッスン「移動平均線の種類と使いかた」

>>【連載】これからの相場をテクニカル視点で読む! 中村克彦のテクニカルコラム
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