Home / 経済を知る / ドル円相場、2017年の振り返りと2018年の見通し ②2017年に起こった変化とは

ドル円相場、2017年の振り返りと2018年の見通し ②2017年に起こった変化とは

(写真=ESB Professional/Shutterstock.com)

前回の記事は<こちら>米ドルが売られた理由のひとつである、「景気が上向いて金融引き締めに転じる国が出てきたなかで、そうした国の通貨が上昇することによるドル安(良いドル安)」とはどういうことでしょうか。実は2017年は世界経済や金融政策に大きな変化がみられた年でした。

2017年に起こった変化とは

2016年まで多くの中央銀行は、リーマンショック後長らく続く世界的な景気低迷に対処するため、利下げなど金融緩和政策(景気を刺激する政策)を採用する姿勢が明確でした。日銀は2016年1月にマイナス金利を導入。豪州中銀(RBA)は5月と8月に利下げし、英国中銀(BOE)も8月に利下げを実施。主要新興国では韓国中銀(BOK)が6月に利下げしています。

しかし、2017年にはこの姿勢に変化がみられます。日銀もRBAも様子見姿勢に徹し、BOEは11月に約10年ぶりに利上げを行いました。欧州中銀(ECB)も事実上の量的緩和ペース縮小(テーパリング)に着手。BOKも11月に約6年ぶりの利上げを実施しているほか、カナダ中銀(BOC)も7月に約7年ぶりの利上げに踏み切っています。通貨防衛ではなく、堅調な経済を背景に複数の中央銀行が引き締めを採用したのは久しぶりです。

背景にはもちろん景気動向の変化があります。経済協力開発機構(OECD)の予想によれば、OECD加盟国35ヵ国に主要新興国10ヵ国を足した45ヵ国において2017年はマイナス成長となる国がなくなるとされています。世界同時回復は2007年以来、実に10年ぶりとのこととなります。

「習近平の新時代」中国経済も堅調

中国経済が堅調だったことも世界経済には大きなプラスとなりました。深刻な地方の債務問題を理由に、ここ数年は同国経済に対して辛口な予想が多かっのですが、中国は事実上の統制経済のもとで成長を維持しています。2017年秋の5年に1度の共産党大会で「習近平の新時代」を打ち出し、中華民族の偉大な復興のため「経済建設の重大な成就」を掲げるなか、2018年も中国は底堅い成長を維持する可能性が高いと考えています。

企業業績が株価を押し上げ

2017年、最も目を引いた大きな変化は世界的な株価上昇といえるでしょう。4月を除いて毎月史上最高値を更新した米S&P500指数だけでなく、2016年はマイナスだったユーロストックス600や、ほぼプラスマイナスゼロだった日経平均株価も、2017年ははっきりと上昇しました。背景にはもちろん企業の業績改善があります。日欧の企業は2016年まで業績の下方修正が多かったのですが、2017年にはいって以降は12ヵ月先の予想1株当たり利益(EPS)が右肩上がりとなっています。加えて、米国や新興国の同指標は日欧を上回る伸びをみせています。

一方、世界中で足どりが鈍いのが物価の上昇率です。グローバル化やインターネットといった技術革新などが構造変化をもたらし、なかなか物の値段が上がらない状況になっているようです。ただ、この物価上昇率の鈍さが、各国中銀の引き締めを緩やかなものにし、低金利・株高の適温(ゴルディロックス)相場を引き起こしているともいえます。

2017年、為替市場の構図のまとめ

このように、2017年は世界経済がリーマンショック後長らく続く低成長からの脱却を進めた一年だったということができそうです。結果として、景気が上向いて金融引き締めに転じる国が出てきたことで、そうした国の通貨が対ドルで上昇(ドル下落)し、2017年はドルが全面安となったとみられます。これを反映し、為替市場の構図は「景気浮揚や金融緩和策の変更が認められた通貨(ユーロなど)」が一番強く、その次が「米ドル」と「円」、そしてその後を「政治不安など悪材料のあった通貨」が続くことになりました。結果、ドルと円の位置どころは同じようなところとなり、ドル円相場はもみ合いが続いたといえそうです。

では、2018年はどのようになるのでしょうか。

次回:2018年の基本ビュー

【おすすめ記事】
東京五輪の経済効果は?その後の落ち込みはどうなる?
転職前に気を付けておきたい税金・年金・お金の話
知っていますか? 「年金」の種類と仕組み
お金のことが学べる映画5選
2020年に向けて市場規模が急拡大 「VR」「AR」で世界はどう変わる?