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物流危機で広がる客貨混載とモーダルシフト

(画像=Scanrail1/shutterstock.com)

運送・物流業界で人手不足が深刻さを増すなか、「客貨混載」や「モーダルシフト」といった取り組みが盛んに。17年には客貨混載の規制緩和も実施されました。客貨混載で地方の新鮮な農産物を都市部に運ぶ新たなビジネスの動きも。モーダルシフト進展による鉄道コンテナ輸送や内航海運の拡大にも注目したいところです。

客貨混載のねらいはドライバー不足対応に加え、地域交通の維持・存続

運送・物流業界で人手不足が深刻さを増すなか、バスや鉄道などで乗客と貨物を一緒に運ぶ「客貨混載」や、トラックから鉄道・船舶に輸送手段を切り替える「モーダルシフト」といった取り組みが盛んになっています。
客貨混載は、大手宅配会社が地方の路線バスや第3セクター鉄道の事業者などと始める例が増えており、そのねらいは宅配ドライバー不足への対応に加え、地域交通インフラの維持・存続という側面があります。地方の路線バスや鉄道の多くは乗客の減少から事業環境が厳しい状況にあり、客貨混載により宅配会社から受け取る運送料は貴重な収入となります。また、モーダルシフトは二酸化炭素(CO2)削減という効果も見込めます。

規制緩和も進む

物流危機が社会問題化したことに後押しされ、17年9月には客貨混載の規制緩和も実施されました。具体的には、従来、路線バスで貨物を運べるのは350キログラム未満が基本とされてきましたが、こうした重量制限を撤廃。また、過疎地限定ではあるものの、タクシーや貸し切りバスによる客貨混載と、貨物事業者による旅客輸送もできるようになりました。

客貨混載で地方の新鮮な農産物を運ぶ新たなビジネスの動きも

地方の路線バスなどによる客貨混載は、大手宅配会社にとって過疎地での宅配サービスの質を維持しつつ業務効率化を進められる試みだけに、この動きが今後一段と広がりをみせるか注目されるでしょう。
また、客貨混載を単なる輸送代替だけでなく、地方産物の輸送手段としても活用し、新たにビジネス化を図る動きもあります。例えば、ある大手電鉄会社は高速路線バスで地方の新鮮な農産物を東京都内のスーパーに届ける事業を開始しました。
さらに都市部でも、16年に東京メトロや大手宅配会社などが手を組み、首都圏を走る地下鉄で客貨混載の実証実験を行っています。利用客が多い都市部の路線では荷物の積み下ろし作業が難しいなど、多くの課題はありますが、客貨混載の拡大は大手鉄道会社のビジネス機会を増やすことにもつながり、将来的に期待されます。

今後の内航海運の拡大にも注目

また、モーダルシフトの動きでは、16年10月に改正物流総合効率化法が施行され、税制上の特例や補助金といった支援措置が受けられるようになったことも追い風。同法の認定を受け、大手ビール各社が北海道で鉄道を使った共同輸送を始めるなどの大規模事例も出ています。代表的な船型である499トンの内航船舶1隻で、おおむねトラック160台分の荷物を運べるとの試算もあります。鉄道コンテナ輸送に加え、今後の内航海運の拡大にも注目したいところです。

 

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