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100年ライフをどう生きる? 学び直しで輝く、これからの生き方

学びシリーズの第3回では、日本女子大学のリカレント教育課程を修了した後、卒業生は社会でどのように活躍しているのかを探っていきます。その結果、これからの社会が求める学習機会がどのようなものかが見えてきました。

学び直しで多様な年齢層が再就職に成功

趣味や教養を深める生涯学習の枠を越えて、学生の「再就職」に徹底的にこだわったカリキュラムを提供する日本女子大学。
では、どのような人たちが受講しているのか? 入学時の年齢層データ(第1回生~第20回生)を見ると、40代が56.9%と最も多く、次いで30代が24.9%、20代11.6%、50代6.3%、60代0.3%と多様な年齢層が受講していることが分かります。

グラフ1 受講生の入学時の年齢層

同様に、受講開始時の職種は、非正規社員が42.9%と最も多く、次いで主婦が30.6%、次に正社員23.2%、そして無職が3.6%。

これが受講修了後には、正社員の割合が46.9%となり、次いで契約・派遣(フルタイム)24.5%、非常勤・パート(勤務時間、週20時間以上)22.5%、非常勤・パート(勤務時間、週20時間未満)6.1%と変化します。

グラフ2 リカレント教育課程修了後の進路

「もともと正社員で働いていた人が出産や育児などで離職し、再就職をしても正社員に戻りにくい現状があるなか、50%近くの修了生が正社員として雇用されています」と、日本女子大学の生涯学習センター所長の坂本清恵氏。

日本女子大学 文学部教授 生涯学習センター所長 坂本 清恵氏

時代の要請に合致した人材教育を実現する

坂本氏の言葉が示すように、日本女子大学のリカレント教育課程を修了した学生の多くがフルタイムで勤務する仕事に就いています。

では、同校のリカレント教育課程を修了した人材をどのような業種が求めているのでしょうか? 坂本氏によると、就職先の業種は教育関連が最も多く35.6%、次にサービス業が23.1%、非営利団体が10.0%と続くとのこと。そのなかでも求められている職種は、事務がもっとも多く75.1%という結果が報告されています。

「『事務職』とひとえに言っても、今の時代に求められる技能は、これまで以上により高度化しています。一度社会に出たからこそ、受講する学生もその必要性を実感しており、授業に取り組む姿勢にも影響しています。就職先の企業の採用担当者から、“日本女子大学の修了生は、社員教育のためのeラーニングについて、ほかの社員以上にまじめに受講している”との報告を受けています。再教育を受けたことで学ぶ習慣が付き、修了した後も自ら学び続けることができるのは、リカレント教育の成果の一つでしょう」(坂本所長)。

再教育を受けた多彩な人材の雇用が求められている

2016年には修了生が、内閣官房働き方改革実現推進室主催『働き方改革に関する総理と現場との意見交換会(第4回)』に出席。首相官邸に出向き、安倍内閣総理大臣や当時の加藤勝信内閣府特命担当大臣、塩崎恭久厚生労働大臣を囲んで『社会人の学び直しと女性の再就職』について意見を交換。社会人が学び直しをして再就職をした経験者として、修了生が意見を述べています。

世の中にリカレント教育課程の存在が広まるにつれ、採用する企業側の意識も変わりつつあり、同教育課程が開く就職合同説明会への参加企業は年々増加。新卒とは違う多彩な人材に注目が集まっています。

「2016年以降は毎年35社を超す企業が参加し、毎年、採用を続ける企業も増えています。再教育を受けた、意識の高い女性の雇用が求められているのです」(坂本所長)。

3回に分けて、日本女子大のリカレント教育の取り組みをご紹介しました。離職してブランクがあっても、学び直しをすることで即戦力となって企業が欲しがる人材となっています。現在の職の有無にかかわらず、自分のキャリアやスキルを見直し、戦略的に学び直しをすることで人生の幅が広がりそうです。

 

日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
吉田明乎

日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(https://consult.nikkeibp.co.jp/financial-contents-lab/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

【学びシリーズのバックナンバーはこちら】
第一回 ブランクがあってもキャリアはやり直せる 「リカレント教育」って何を学ぶの?
第二回 一度は離職。社会復帰にむけて“学び直し中”の40代女性の勉強内容は?

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