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FX投資の基礎知識①・・株式投資との違い(前篇)

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(写真=Phongphan/Shutterstock.com)

株式相場と為替相場

個人投資家にとって比較的身近な相場として、株式相場や為替相場がありますが、一般的には株式相場の方が為替相場よりも歴史がありなじみが深いようです。実際、東京証券取引所の前身である東京株式取引所は100年以上前の1878年に開所し、取引をスタートさせた一方で、為替相場の取引対象はその国の通貨そのものであることから、その変動は貿易や物価を通じて国の経済や景気に影響を及ぼすということもあり、個人投資家の参入などは厳しく規制されていました。規制緩和に加えてIT技術の進歩もあり、個人投資家の間に為替相場が投資対象として認識され、FXなどと呼ばれるようになったのはここ20年程のことです。

株式相場と為替相場は違うもの

株式も為替も同じように「市場」や「相場」という言葉を使います。また、その値動きをグラフに描けば同じようにテクニカル分析を行うことができます。しかし、実際にはこの2つの相場は違うものです。この違いを認識せずに株式市場で成功した人が為替市場で失敗したり、その逆のことが起きたりすることも少なくないようです。では、どのようなところに違いがあるのでしょうか。

そもそも表しているものが違う

1株=100円の株式と1ドル=100円というドル円相場は、投資金額が100円という点では一見、同じような投資対象に見えます。しかし、株価はその株の値段、プライスを表す一方、ドル円はドルと円の交換比率、レートを表しています。プライス(値段)とレート(比率)、そもそも表しているものがまったく違うのです。

日本株は円で評価する

日本株の株価は一般的に円で評価します。株の価値が上昇すれば数字が大きくなり、下がれば数字が小さくなりますが、この時、通常は円の価値を意識することはありません。1株100円の株が110円になると「株価が上がった」と考え、一般的には円が下がったとは考えないということです。あくまで株価を円で評価し、円の価値は評価基準として動かずに、株価だけが上下します。したがって、投資を行ううえでは株の価値、投資する企業の価値をしっかりと分析・評価することがとても重要となります。

為替相場は交換比率

一方、ドル円レートは、1ドル=100円が110円になった場合、ドル高であるとも言えますし、円安であるとも、またその両方とも言えます。したがって、投資する際にはもちろん米国と日本、両方の状況について分析を行う必要があります。しかし、これだけでは十分とは言えません。為替相場はあくまで相対的なものですので、どちらかが評価基準という考え方はありませんし、ドル円相場だけでそれぞれの通貨の価値がわかるわけでもないのです。

為替相場はつながり合っている

ドル円相場だけでそれぞれの通貨の価値はわからない、とはどういうことでしょうか。それは、為替市場では通貨が互いに為替レートを通じてつながっている、ということがポイントになります。株式市場ではそれぞれの株価を円という共通の評価基準で評価していますが、為替相場ではさまざまな通貨が互いにつながり合って為替レートが導かれ、それぞれが互いに影響を及ぼし合っています。

具体的な通貨のつながりとは

たとえば、ドルとユーロと円という3つの通貨の間には、ドルと円、ドルとユーロ、ユーロと円という3つの為替レートが考えられます。ここで、アメリカで好材料が出て、ドルが上昇したとしましょう。ドル高はドル円相場ではドル高円安になります。ユーロとドルの相場では、ドル高ユーロ安です。この3通貨の間では「ドル高と、円安・ユーロ安」という構図になります。この時、ドル高に対してユーロと円が同じ割合だけ下落すれば、ユーロと円の相場であるユーロ円は動きません。しかし、もしドル高によって円安よりもユーロ安の方が強く表れたとすると、ユーロ円ではユーロ安円高になります。ユーロ売りからの円買いとなるのです。

すると円はややこしい状況になります。最初の反応は、ドル高からの円安でした。しかし、ドル高からのユーロ安によってユーロ安円高が引き起こされ、ドル高からの円安とユーロ安からの円高がぶつかることになります。つまり、ドル円相場に対する影響は、ドル買いからの円売りという直接的な経路だけではなく、ドル買い⇒ユーロ売り⇒円買いという経路からも影響されることになるのです。このように為替相場では通貨同士が互いにつながり合うことで複雑な動きとなります。ドル円相場は米国と日本の関係のみならず、米国とユーロの関係から、米国の材料がユーロをどの程度動かし、それがユーロ円にどのような影響を及ぼすかもドル円相場を動かす要因となり得るのです。したがって、ドル円レートを分析するためには米国と日本の分析をしっかりと行えば十分、というものではなくなってきます。

ポンドを入れるとさらに複雑に

上の例ではドルとユーロと円の3通貨を考えましたが、これに例えばポンドを入れて4通貨で考えると、為替レートは前述のドルと円、ドルとユーロ、ユーロと円のほか、ドルとポンド、ポンドとユーロ、ポンドと円の6つのレートを考える必要が出てきます。ドルの材料が円に与える影響も一層複雑になっていくのです。

このように株式相場と為替相場は、そもそも表しているものが価格(プライス)と比率(レート)とまったく違い、それゆえに動きを予想するうえで分析する対象範囲も大きく違うことには注意が必要です。ただ、違いはそれだけではありません。次回は違い後編、参加者の違いをみてみましょう。

<後編に続く>


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