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【フィンテック】事業者向け融資に起きている新しい流れ

(写真=SFIO CRACHO/Shutterstock.com)

フィンテックの登場により、金融機関だけではなく、私たちの生活にも変化がもたらされています。フィンテックによってもたらされた変化は、新しい送金・決済サービスやロボット・アドバイザーによる資産運用など、多くの利便性を私たちの生活にもたらしてくれます。

フィンテックの影響は、個人向けの金融サービスだけではありません。金融サービスを利用する企業にも影響を与えているのです。

今回は、事業者向け融資の分野でどのような変化がもたらされているのかをみていきましょう。

フィンテックによってもたらされる事業者向け融資における変化とは

日本ではフィンテックといっても、まだまだできることは限られているのが現状です。しかし、海外に目を向けると、たとえば米国ではこれまで銀行が提供してきた預金、決済、融資といった業務をフィンテック企業も提供している状況です。

今後は日本でもさらにフィンテックを活用したサービスが拡大するのは確実だと思われます。融資分野に関しては、すでに個人向け融資や一部事業者向けにソーシャルレンディングが提供されていますが、今後、利用者のデータ提供や追加情報入力でスコアアップなどが可能となるスコアリングモデルを活用した融資が本格的に展開されていくようです。

従来、新しく事業をスタートしようとするときや、運転資金や設備資金を借りようとしたとき、個人事業主や中小零細事業者は、銀行などから開業や運転、設備のために使う資金の融資を受けられなかったり、希望の金額を借り入れできなかったり、融資を受けるまでにたくさんの書類を用意する必要や審査が下りるまでに長い時間がかかったりしていました。

ソーシャルレンディング(または融資型クラウドファンディング)では、既存の金融機関に頼らずに事業資金の調達が可能になりますが、資金が集まるまでに時間がかかったり、希望する金額の資金が集まらないこともあります。

とはいえ、事業者向け融資分野でもフィンテックを活用したサービスにより、融資を受けやすくなることが期待できる状況になってきたようです。
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融資審査におけるAI、ビッグデータの活用

膨大な交通情報を活用した渋滞予測、過去から蓄積された天候情報から行う天気予報など、ビッグデータの活用がさまざまな分野で進められています。金融分野でも同様に融資の審査へのビッグデータの活用が始まっています。

従来の融資審査は、融資の申込者の財務・決算情報や過去にどういった取引をしてきたか、担保の有無などを基に行われてきました。これは実績のある事業者にとっては融資を受けやすく、金融機関側も返済が滞るリスクを減らせるというメリットがありました。しかし、その一方で実績に乏しい新規に事業を始めようという事業者や中小零細事業者は借り入れしにくいという状況があったのです。

フィンテックを活用した審査では、融資の申し込みがあった際に、その融資が妥当かどうかを判断するため、これまでの取引状況のデータやインターネット上でどのように行動しているかということを、機械学習を用いて膨大な数の行動記録からルールを見つけ出します。そして、そのルールを基に申込者の信用度を算出し、AIが融資可能か判断する仕組みとなっています。

このAI、ビッグデータを活用した審査は、新規に事業をはじめる際や個人事業主・中小の事業者にとって、融資を受けられるチャンスが広がるだけではなく、これまで事前に準備しなければならなかった膨大な書類を用意しなくても済むようになったり、審査にかかっていた時間が短縮されるなど大きなメリットをもたらすでしょう。

現在のところ、ビッグデータを活用した事業者向け融資の事例としては、主にEC事業者が自社のプラットフォーム上でビジネスを行っている事業者向けに短期の運転資金の融資を行っているケースが見られます。
また、一部でフィンテック企業と既存金融機関が協業して、クラウド会計上のデータを活用し事業者に融資を行おうという試みも始まっています。

借りる側の事業者にとっても借り先の選択肢が増えることは事業拡大や新規ビジネスのスタートにとってプラスになるのではないでしょうか。

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